第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演11群 看護教育~基礎教育②~

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場4 (102)

座長:勝山 貴美子

[口演M-11-1] うつ病を抱える看護学生の学業継続に向けた教員による支援

高橋 喜代子 (さいたま看護専門学校)

Keywords:うつ病を抱える看護学生、教員による学業継続支援、エンパワメント、服薬管理による睡眠確保、看護学実習の継続に向けて

【抄録】
【目的】精神に問題を抱えた学生は、学校側支援として医療機関につなげることはできても、実際に「授業に出ていけない」「期日通りに提出物を出せない」「発言できない」といった身体的・精神的不安定な状態で、学業の継続が困難となるケースが生じている。今回、うつ病を抱え学業の継続が困難であった学生に服薬管理による睡眠確保の支援を行い、科目単位の修学に至った事例からうつ病を抱える看護学生への学業継続に向けた教員による支援について検討する。【方法】1. 対象紹介:20 歳代 看護学生。生真面目な性格。2 年前からうつ病を発症し、内服治療中。不眠・倦怠感の症状により遅刻、欠席による履修年次の実習単位取得が難しく、しばしば学業が中断している状況であった。処方薬量、回数は守っていたが内服時間はその日その日で2 ~ 3 時間の誤差があった。2. データ収集・分析方法:3週間の実習期間中に1 名の担当教員が服薬支援を実施。実習1週目、2週目、3週目で分類し学生の体調、言動を経時的に書き起こしコード化。さらに意味内容類似性に沿ってカテゴリー化を行った。3. 倫理的配慮:対象者に対し研究の目的、内容、協力への自由意志、協力の拒否や撤回によって不利益が生じないこと、結果の公表方法について文書で説明し、書面による同意を得た。データは個人が特定されることのないよう十分に配慮した。【結果】108 のコードから10 のカテゴリーが抽出された。実習1週目:学生は、遅刻と居眠りが続き、やらなきゃ落ちる「恐怖」と何も考えられない「感情の減退」、できない自分が悪い「罪悪感」が強い状態であった。教員から内服時間、起床後の飲水量、就床の時間を設定し提案。学生は、教員についていくしかないという「すがる思い」と今は自分で考えなくてもいい「自己責任からの解放」があった。2週目:倦怠感、眠気が改善し、内服時間の調整だけでこんなに違う。今まで誰も時間までは言ってくれなかった。「頼れる環境」への安心と「薬の効果の実感」「病気の受容」から、3週目:今日はやれるという「自信と意欲」「克服感」が生まれ、実習の中断なく単位取得に至った。【考察】日中の身体活動が安定し、単位取得の見通しが立ったことでエンパワメントにつながった。学業継続のために教員は学生の心身の状態や置かれている状況を見極め、身体の安定を目指して適切な睡眠がとれるよう支援することが重要である。