第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演11群 看護教育~基礎教育②~

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場4 (102)

座長:勝山 貴美子

[口演M-11-2] コロナ禍における臨地実習指導者の看護学生の実習指導の実践と困難感

土方 郁美 (栃木医療センター附属看護学校)

Keywords:臨地実習指導者、看護基礎教育、看護学生、指導上の困難感

【抄録】
【目的】昨年度筆者が実施した看護学生と臨地実習指導者(以下指導者)に対する質問紙調査で、学生の実習に対する安心感、不信について両者で有意差が見られ、学生と指導者のずれが生じていることが明らかになった。そこでさらに実習指導者の内面に焦点を当て、実習指導と困難感を明らかにすることを目的とした。【方法】コロナ禍を考慮し、指導者として3 年以上指導にあたっている看護師に対してオンラインで半構成的面接を実施した。録音データをトランスクリプト後テキストマイニングにて分析した。なお、本研究は筆者所属の倫理審査委員会にて承認を得て実施した。【結果】2021 年2 月~ 3 月に4 名の指導者にインタビューを実施した。平均面接時間22.7 分であった。看護師としての平均経験年数は17.0 年、指導者としては10.5 年であった。「コロナによる実習制約から対人関係に苦手意識を持つ学生への対応困難」「評価の難しさと妥当性への不安」「指導者間の相違と工夫」といった《指導者が感じる困難》(18 コード)があり、それに対して「伝え方の工夫」「指導者側からのアプローチ」「肯定的な言葉の選定」といった《指導場面での配慮と工夫》(35 コード)をしていた。また、《指導者が捉える学生像》(19 コード)として、コロナ禍による実習経験不足から「対象理解が困難」であり、「実技経験の少なさ」があることにより「患者との関わり方の困難」で、かつ「指導者との関係性」を構築していくことが難しいと捉えていた。このような思いから、学習面だけではなく、看護師としての資質や態度、倫理面を学生の実習の場で育てていくことや、社会人としての基本的な力を身につけていく必要があると考え、「看護基礎教育での期待」から《看護教員との連携の必要性》(34 コード)を認識していた。【考察】臨地実習は知識・技術を現場で実践する場面であり、指導者は報告や相談も含めて学生に合わせた指導をすることに難しさを感じていた。コロナ禍で実習や社会体験が不足している学生に対して指導者と教員の連携によって解消していくことは学生の実習における効果的な学びをこえて卒後教育につながると考えられる。コロナ禍の現代においては実習での患者理解や看護の役割、看護者としての態度の育成をさらに連携し、補っていくことや、教員と指導者の協働がますます求められていると考えられる。