第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演14群 がんとともに暮らすことへの支援

2022年11月8日(火) 14:00 〜 15:00 口演会場5 (103)

座長:三木 幸代

[口演M-14-4] 医療用麻薬使用患者に関わる病棟看護師の指導の実態調査

武田 彩花, 平本 かおり, 景澤 啓子 (山形県立中央病院)

キーワード:医療用麻薬、患者指導、実態調査

【抄録】
【目的】A 病院B 病棟では癌性疼痛や呼吸困難に対して医療用麻薬(以下、麻薬とする)を使用している患者が多いため、麻薬使用患者に関わる病棟看護師の指導の実態を明らかにする。【方法】対象は、看護師経験年数2 年目以上(師長と研究者を除く)のA 病院B 病棟看護師22 名。研究者が独自に作成した無記名自記式の質問紙を使用して調査を実施した。対象者の自由意思を保障し、質問紙の投函をもって研究への同意を得た。選択式の質問は項目ごとに単純集計し、自由記載は意見としてまとめた。【結果】対象者22 名に配布し21名から回収。回収率95.4%、有効回答率100%であった。20人(95.2%)が麻薬使用時、看護師の説明は必要だと思うと回答した。17 人(81.0%)が麻薬の説明を行うことに不安があると回答し、その理由として「患者が麻薬についてどこまで理解しているかわからない」、「麻薬の作用・副作用について不安がある」が多かった。また、17 人(81.0%)が患者への説明が不十分だと思うと回答した。その理由として「忙しくて時間が取れない、他の業務に追われてしまう」が11 人と最も多く、次いで「自分の知識が不足している」が8 人であった。指導を行うタイミングについて、麻薬の開始時、用量・薬剤の変更時、退院時に説明を行っている人はいずれも80%を超えていた。麻薬の副作用についての指導状況は悪心嘔吐が20 人(95.2%)、眠気が17 人(81.0%)、便秘が21人(100%)であった。【考察】9 割以上の看護師が麻薬使用患者への説明・指導の必要性を認識していた。約8 割の看護師が麻薬の説明を行うことに不安を感じており、尚且つ患者への説明が不十分だと考えていることが明らかになった。一方で、7 ~ 8 割以上の看護師が麻薬に関して最低限必要な指導を適切なタイミングで実施していた。これらのことから、看護師の意識・自己評価と指導の実践状況には乖離があると考察された。看護師の麻薬に関する知識不足への不安は、看護師自身が実施している説明・指導への評価や満足度を下げていることが推測された。また、B 病棟の看護師は、患者の麻薬に対する理解度や受け止め方についての把握がやや不十分なまま患者と関わっているという現状があり、麻薬の説明をする上での看護師の不安につながっていることが示唆された。