第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演21群 看護技術の向上

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 口演会場7 (105)

座長:飛世 真理子

[口演M-21-2] 整形外科患者の排尿障害を引き起こす要因に関する検討

-膀胱留置カテーテル抜去後の患者に焦点を当てて-

野口 在紗, 太田 依里 (田川市立病院)

キーワード:整形疾患、留置期間、排尿障害、高齢者、認知症

【抄録】
【目的】整形外科疾患では疼痛による体動困難や体動制限があり、膀胱留置カテーテルを挿入する。抜去後排尿障害を引き起こす症例があった。症例を振り返り排尿障害を引き起こす患者の共通点を探り要因分析する事で今後の患者看護に活かす基礎資料とする。【方法】A 病院B 病棟の整形外科疾患で膀胱留置カテーテル挿入を行った患者83 名を対象とした。膀胱留置カテーテル抜去後、排尿障害を引き起こさなかった患者71 名をA 群、引き起こした患者12 名をB 群に分け、認知症の有無、骨折部位についてはχ2検定、膀胱留置カテーテル挿入期間についてt検定を行い、有意水準は5%とした。倫理的配慮:本研究はA 病院倫理委員会の承認を得て行った。調査内容や研究結果は研究以外に使用することなく、個人情報保護法に基づき、個人が特定できる形での公表はしない事、研究終了後は得た情報は全て破棄、またデータは消去し二次使用は行わない事とした。【結果】A 群、B 群を比較して認知症の有無、膀胱留置カテーテル挿入期間については有意差が認められた。しかし、骨折部位については有意差が認められなかった。【考察】本研究対象患者の中で、膀胱留置カテーテル挿入期間が最も長い患者は、抜去までに30 日以上と時間を要した。膀胱留置カテーテル挿入期間が長期化すると排尿障害を引き起こす要因になるため、医師や多職種と情報交換を行い、段階を追った自発的な活動を促していく必要がある。また、患者の術式や状態に応じた離床方法や排泄方法を術前指導に取り入れ早期に膀胱留置カテーテル抜去を行う事が重要であると考える。認知症を有する患者は訴えをとらえにくいため、1 人1 人の排尿障害のタイプや排泄行為を知り、排泄ケアの時間、場所、方法を適切に選択し個別の状況に合わせた看護介入が必要であると考える。今回の研究では、排尿障害を引き起こした患者の共通点を探り、要因を分析する事が主な研究内容であった。今後は、患者の排泄行動やADL 状況に合わせた看護介入を行い、排尿障害を回避出来るように研究結果を活かしていきたい。【結論】①個々の状況に応じて早期に膀胱留置カテーテル抜去が出来るよう介入していく必要がある。②排尿障害を引き起こす患者は一要因として認知症を有している。