第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演24群 看護管理~組織管理~

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 口演会場1 (302)

座長:村松 裕子

[口演M-24-2] 病院統合による看護組織文化が再形成するときに起こった困難とその対応

蔭山 綾子1, 武田 道子2 (1.JA 徳島厚生連阿南医療センター, 2.四国大学大学院看護学研究科)

キーワード:病院統合、看護組織文化、困難、対応

【抄録】
【目的】地域医療構想により病院の再編と統合が進められ、病院統合により看護組織を再形成する時の混乱が予測された。看護組織文化の再形成時の混乱に対する解決方法を導き出せると考え、統合2 年が経過した病院の看護組織文化が再形成されているか、次いで看護組織文化の再形成時に起こった困難と対応について明らかにすることを目的とした。【方法】2021 年3 月「看護組織における組織文化の測定尺度」でアンケート調査を行い統計的に分析し、看護組織文化を把握した。次いで前病院で10 年以上勤務した看護主任に病院統合による看護組織文化の再形成時の困難と対応をインタビュー調査し質的記述的に分析した。倫理的配慮は、研究の趣旨と参加は自由意志であることを口頭と書面で説明し承諾を得た。データは個人情報保護のため記号を用いた。【結果】アンケートは161 回収(回収率74.2%)。2 病院間で有意差を示したのは40 項目中4 項目で自己研鑽、異質さの需要、集団の凝集であった。インタビューは母体となった病院看護師5 名、吸収された病院看護師5 名の計10 名。看護組織文化の再形成時の困難として[母体となった病院の業務方針で行い吸収された病院の意見が取り入れられなかった][吸収された病院の看護主任の役割が増えた][業務のすり合わせができていないことで、体制が未整備][新しい方針や業務、職員に馴染めない]の4 カテゴリーが、対応として[母体となった病院の方針で業務を行ったため、吸収された病院の看護師に意見を求め業務調整を行った][母体となった病院の看護師は吸収された病院の看護師を助け、励まし、早く慣れてもらった][新しい業務に慣れるように学び合った][経験を活かした配置と整備]の4 カテゴリーが抽出された。【考察】アンケート結果から病院間で差があったのは自己研鑽などの項目であり、看護業務に関連する項目が少なかったことから統合2 年で看護組織文化がほぼ形成されていると判断できた。統合による看護組織文化の再形成時の困難は、体制が整わず馴染めない状況を示しアンケートの集団の凝集に影響していた。対応は業務の視点での対応で方向を示し意見を聞き励まし慣れてもらい、段階・建設的に困難を解決しモチベーションを低下させないよう配慮していた。看護管理の視点での対応で専門性を活かした配置と、新しい部署の設置など看護業務の方針を1 つにする対応があった。