[口演M-25-4] 救命救急センター集中治療室における災害訓練の取り組み
-他者評価チェックリストとデブリーフィングの効果の検証-
Keywords:集中治療室、災害訓練、他者評価チェックリスト、フィードバック、デブリーフィング
【抄録】
【目的】災害時の初動訓練(以下訓練)に、災害マニュアルに沿った行動評価のための他者評価チェックリスト(以下チェックリスト)とデブリーフィングを導入することで、看護師が行動フローに沿った行動がとれる。【方法】対象はA病院集中治療室看護師36 名。期間は2021 年6 月~ 2022 年2 月。チェックリストは、発災直後の行動の基盤となる“ 地震直後の安全”“ 指揮統制”“ 安全”“ 情報伝達”“ 評価”5 つのカテゴリ26 項目で作成。訓練は前期・後期に分け、各期5名以下の2 グループで4 回実施し、全員が各期1回参加。他者評価は、DMAT 有資格者がチェックリストに基づく各人の行動評価と時間測定を行いフィードバックした。また、グループ毎にKPT 法を用いたデブリーフィングを実施。各訓練後にデブリーフィングに対する意識と訓練の自己達成度を調査した。前期・後期のチェックリスト項目の実施率をカテゴリ毎に単純集計しt 検定で分析。時間測定結果は発災直後から体制確立までの所要時間を比較。アンケート結果はウィルコクソン順位和検定で分析(P<0.05)。意識調査への参加は自由意思とし、未参加であっても本務への影響がない事を説明した。【結果】各期のチェックリスト全項目の平均実施率は、69% から73% に上昇。“ 安全” は62 ± 20% から92 ±14%(p=0.002)、“ 評価” は50 ± 23% から73 ± 20%(p=0.042)に上昇し有意差を認めた。発災直後から体制確立までの時間は、前期28 分12 秒± 1 分43 秒、後期26 分25 秒± 1 分58 秒で2 分13 秒短縮。各期の意識調査結果 “ 何ができていないか今後どうすべきかのフィードバックがあった“ との回答が74% から97% に上昇(p=0.002)、訓練の自己達成度は61% から71% に上昇し(p=0.006)有意差を認めた。【考察】“ 安全”“ 評価” の実施率、発災直後から体制確立までの時間短縮、訓練の自己達成度で有意差を認めた。これはチェックリストに基づくフィードバックとデブリーフィングにより、各人が客観的な行動の振り返りと疑問点の解決ができ、自身の課題を明確にして後期の訓練に臨み、行動フローに沿った行動が習得できた結果と考える。チェックリストとデブリーフィングを組み合わせた訓練は、最も混乱する初動期に行動フローに沿った行動を迅速・確実に行うために有効であると考えられる。
【目的】災害時の初動訓練(以下訓練)に、災害マニュアルに沿った行動評価のための他者評価チェックリスト(以下チェックリスト)とデブリーフィングを導入することで、看護師が行動フローに沿った行動がとれる。【方法】対象はA病院集中治療室看護師36 名。期間は2021 年6 月~ 2022 年2 月。チェックリストは、発災直後の行動の基盤となる“ 地震直後の安全”“ 指揮統制”“ 安全”“ 情報伝達”“ 評価”5 つのカテゴリ26 項目で作成。訓練は前期・後期に分け、各期5名以下の2 グループで4 回実施し、全員が各期1回参加。他者評価は、DMAT 有資格者がチェックリストに基づく各人の行動評価と時間測定を行いフィードバックした。また、グループ毎にKPT 法を用いたデブリーフィングを実施。各訓練後にデブリーフィングに対する意識と訓練の自己達成度を調査した。前期・後期のチェックリスト項目の実施率をカテゴリ毎に単純集計しt 検定で分析。時間測定結果は発災直後から体制確立までの所要時間を比較。アンケート結果はウィルコクソン順位和検定で分析(P<0.05)。意識調査への参加は自由意思とし、未参加であっても本務への影響がない事を説明した。【結果】各期のチェックリスト全項目の平均実施率は、69% から73% に上昇。“ 安全” は62 ± 20% から92 ±14%(p=0.002)、“ 評価” は50 ± 23% から73 ± 20%(p=0.042)に上昇し有意差を認めた。発災直後から体制確立までの時間は、前期28 分12 秒± 1 分43 秒、後期26 分25 秒± 1 分58 秒で2 分13 秒短縮。各期の意識調査結果 “ 何ができていないか今後どうすべきかのフィードバックがあった“ との回答が74% から97% に上昇(p=0.002)、訓練の自己達成度は61% から71% に上昇し(p=0.006)有意差を認めた。【考察】“ 安全”“ 評価” の実施率、発災直後から体制確立までの時間短縮、訓練の自己達成度で有意差を認めた。これはチェックリストに基づくフィードバックとデブリーフィングにより、各人が客観的な行動の振り返りと疑問点の解決ができ、自身の課題を明確にして後期の訓練に臨み、行動フローに沿った行動が習得できた結果と考える。チェックリストとデブリーフィングを組み合わせた訓練は、最も混乱する初動期に行動フローに沿った行動を迅速・確実に行うために有効であると考えられる。