第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演27群 意思決定支援

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場2 (303)

座長:橋口 周子

[口演M-27-5] 結核病棟における結核患者の不安状況・ストレス因子の推移

-患者イベントによる変化-

松尾 沙貴, 前田 綾子, 岩崎 聡美 (日本赤十字社長崎原爆諫早病院)

Keywords:肺結核、隔離、不安、ストレス

【抄録】
【目的】A 病院は結核病床を20 床有し、平均在院日数は結核・結核疑いを含め41.9 日と長期間である。肺結核患者は約2 か月の入院生活で、肺結核診断や抗結核薬内服、様々な制限等、不安・ストレス要因があり、回復を遅らせる要因の1 つとなると考えた。そこで、患者イベント毎(①結核診断・治療開始時、②個室隔離解除時、③副作用出現時、④退院予定時期(約2 ヶ月)、⑤退院・社会復帰時)の不安状況の推移と影響するストレス因子を調査することで、看護師がアプローチを強化する場面を特定し、患者の不安とストレスが軽減できないかと考え、今回調査を行った。【方法】A 病院結核病棟に入院し、肺結核の治療を行った患者で認知症診断を受けていない者に対し、アンケート調査を実施した。調査の目的、個人情報の取り扱い、協力を断っても不利益が生じないこと等を明記した文書を、調査票と同時に対象者に手渡し、了承したうえで回答を得た。不安状況の推移は、日本版State-Trait Anxiety Inventory を用い、影響するストレス因子は、独自にアンケートを作成した。【結果】対象者7 名に依頼し、5 名より回収した。副作用出現しなかった1 名は除外し、出現した4 名の状態不安を見てみると、①の時期4 点3 名、3 点1 名、②の時期3 点3 名、2 点1 名、③の時期5 点2 名、3 点1 名、2 点1 名、④の時期3 点2 名、2 点2 名、⑤の時期2 点3 名、1 点1 名と推移した。ストレス要因は、入院時が結核、それ以降は家族について、副作用出現時は抗結核薬、隔離についてはどの時期も高かった。【考察】副作用出現者4 名の結果、副作用出現時を除くと、不安は入院時に高く、退院時には軽減している。そのため、治療開始時に特に肺結核・抗結核薬・隔離についてわかりやすく説明する必要がある。不安の推移は個人差が小さいが、副作用出現時のみ個人差が大きく、副作用の内容等の影響があると考えられる。個人差が大きいため、看護師による個別的な介入が必要である。ストレス要因は入院時が結核について、それ以降は家族についてと変化する。結核について徐々に受け入れるにつれて関心が結核から家族のことに推移すると考えられ、家族との連絡・面会を促すなどの工夫が必要であると考える。隔離についてはどの時期もストレスが高いと考えられ、患者が抱えている悩みや不安を表出できるような環境作りが重要となってくる。