[口演M-27-4] 拡張型心筋症患者の除細動機能付き両室ペースメーカー移植後を生きる体験
Keywords:拡張型心筋症、除細動機能付き両室ペースメーカー、体験
【抄録】
【目的】本研究は、難病に指定されている拡張型心筋症 (以下DCM)患者が除細動機能付き両室ペースメーカー(以下、CRT-D)を移植後、どのような症状や思いの変化を体験しているかを質的に探究することで、今後CRT-D を移植する患者への看護支援の一助にすることを目的とした。【方法】対象は、外来受診を継続しているDCM の患者(男性、70 歳代)1名である(以下、A氏)。CRT-D 移植から現在に至るまでの症状や思いの変化について半構造化面接を行った。録音データは逐語録にし、質的統合法(KJ 法)による分析を行った。なお、本研究はB 大学倫理審査委員会の承認を受けた。【結果】A氏は40 代でDCM と診断され、4年前に植込み型除細動器を、2年前にCRT-D の移植を行った。A 氏のCRT-D 移植後の語りの内容から33 枚のラベルを抽出し、最終ラベルは6 枚となった。最終ラベルの関係性から、次のように結論文としてストーリー化した。A 氏は、DCM が「治らない病気だから、いつまでもこの状態は続かない」と思いながらも、「CRT-D が正常に心臓を動かしていることを知る」ことで、「不整脈の不安から解放されて健康だと感じる」ことができていた。「死を思い悩まない」ものの「老いてしまった自分に気づく」ことで、「残される家族への気がかり」を意識するようになったという体験をしていた。【考察】DCM患者は、心不全症状の増悪を繰り返すことから様々な苦痛を抱えている。CRT-D を移植することによって症状が改善し、その苦痛から解放され、同年代者と近似した発達課題を認識する可能性が示唆された。このことから、看護師はCRT-D移植後に一律に課せられる生活制限や心不全の自己管理の指導に目を向けがちであるが、その年代に応じた発達課題を持ちながら生活する者として患者を捉え、その人らしく積極的に日常生活を営むことができるよう支援することが重要である。
【目的】本研究は、難病に指定されている拡張型心筋症 (以下DCM)患者が除細動機能付き両室ペースメーカー(以下、CRT-D)を移植後、どのような症状や思いの変化を体験しているかを質的に探究することで、今後CRT-D を移植する患者への看護支援の一助にすることを目的とした。【方法】対象は、外来受診を継続しているDCM の患者(男性、70 歳代)1名である(以下、A氏)。CRT-D 移植から現在に至るまでの症状や思いの変化について半構造化面接を行った。録音データは逐語録にし、質的統合法(KJ 法)による分析を行った。なお、本研究はB 大学倫理審査委員会の承認を受けた。【結果】A氏は40 代でDCM と診断され、4年前に植込み型除細動器を、2年前にCRT-D の移植を行った。A 氏のCRT-D 移植後の語りの内容から33 枚のラベルを抽出し、最終ラベルは6 枚となった。最終ラベルの関係性から、次のように結論文としてストーリー化した。A 氏は、DCM が「治らない病気だから、いつまでもこの状態は続かない」と思いながらも、「CRT-D が正常に心臓を動かしていることを知る」ことで、「不整脈の不安から解放されて健康だと感じる」ことができていた。「死を思い悩まない」ものの「老いてしまった自分に気づく」ことで、「残される家族への気がかり」を意識するようになったという体験をしていた。【考察】DCM患者は、心不全症状の増悪を繰り返すことから様々な苦痛を抱えている。CRT-D を移植することによって症状が改善し、その苦痛から解放され、同年代者と近似した発達課題を認識する可能性が示唆された。このことから、看護師はCRT-D移植後に一律に課せられる生活制限や心不全の自己管理の指導に目を向けがちであるが、その年代に応じた発達課題を持ちながら生活する者として患者を捉え、その人らしく積極的に日常生活を営むことができるよう支援することが重要である。