第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演31群 在宅療養移行支援④

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 口演会場3 (304)

座長:吉村 浩美

[口演M-31-1] 「気なる患者」をチームで支える地域医療連携室スタッフに対する承認と支援

工藤 ゆかり (秋田病院)

キーワード:連携、承認、支援

【抄録】
【目的】A 病院の医療圏の高齢化率は40%を超え、難渋する事例がある。地域医療連携室(以下、地連)では外来看護師から、「身寄りがない」「治療拒否で支援困難」「認知症の高齢者夫婦」など今後何らかの支援が必要となりそうな患者(以下、「気になる患者」)の相談を受けている。相談対応する地連スタッフからは「患者の希望する生活はこれでよいのか」「ほかの支援方法はないか」と不安言動があった。そこで地連スタッフによる気になる患者の問題解決に向けた行動を承認し、チーム連携の場を構築した地連看護師長の支援が役割認識とチーム連携に効果的であったかを明らかにする。【方法】2021 年4 月から12 月、地連スタッフ4 名を対象に行う。外来看護師により気になる患者の情報を受け地連スタッフの行動を承認し、チーム連携の構築への支援を行う。その後、地連スタッフに聞き取り調査を行い、承認と支援に関する項目をKJ 法で分類・カテゴリー化し、有効性を見出す。倫理的配慮:A 病院倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】聞き取り調査の結果、〈支援の後押し〉〈情報交換への安心感〉〈連携への動きやすさ〉〈スムーズなカンファレンス開催〉〈問題を表出しやすい環境〉〈連携の土台作り〉〈共有への安心〉〈師長発信による情報拡大〉〈困難事例への関心〉〈部署間の情報の共有〉〈部署間の支援意識の向上〉〈積極的な情報収集〉〈患者情報の確認〉〈部署長同士の連携向上〉の14 サブカテゴリーを抽出。そこから《スタッフ個々の活動への安心感》《全体への周知による情報の浸透》《他部署との情報共有の活性化》の3つにカテゴリー化した。【考察】地連看護師長が地連スタッフの行動を承認し、後押ししたことが、支援に対する不安や迷いが解消され、安心と自信をもって活動するきっかけが、《スタッフ個々の活動への安心感》につながった。患者に関わる部署へは《全体への周知による情報の浸透》が必要であり、情報発信することでチーム内の情報量の偏りが減り。意識統一が図れた。そして積極的な情報収集と患者支援に対する自己の役割を認識しチームで連携することが《他部署との情報共有の活性化》を意味する。今回、気になる患者の問題解決に向けて、地連看護師長として承認と支援を行ったことは、他部署との関係構築を進め、スタッフ個々の役割認識と情報の活性化、スタッフ自身の内発的動機付けに効果的であった。