第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

口演

口演31群 在宅療養移行支援④

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場3 (304)

座長:吉村 浩美

[口演M-31-2] ICT を活用した退院支援カンファレンスの有用性の検討

遠藤 涼子, 鈴木 ひろ子, 金子 沙由里, 佐藤 有加, 小畑 正子 (宮城県立こども病院)

Keywords:ICT、退院支援カンファレンス、リモートカンファレンス、在宅、地域医療連携

【抄録】
【目的】患者・家族のよりよい退院支援につなげるため、ICT(情報通信技術)を活用した退院支援カンファレンス(=リモートカンファレンス)の有用性を明らかにする。【方法】リモートカンファレンスに参加した訪問看護師、相談支援専門員、地域保健師等に対し、独自に作成した無記名自記式質問紙を郵送し、リモートによる患者情報の理解度を5 段階評価し、単純集計を行った。リモートカンファレンスの利点・欠点について自由記述質問は質的帰納的分析とした。倫理的配慮として、対象者に研究目的、方法、参加の任意性、匿名性など文書で説明し、質問紙の返送をもって同意を得た。【結果】回答数は30 件(回収率66.7%)であった。患者情報は、患者の病態、医療ケアの内容、家族の手技獲得状況、発達やリハビリの様子、退院後に必要な支援、緊急時の対応・受診先について、全ての項目で80%以上が「理解できた」と回答し、「理解できなかった」との回答はなかった。つぎにリモートカンファレンスの利点・欠点を分析した結果、それぞれ4 つのカテゴリーが抽出された。カテゴリーは『』、サブカテゴリーは〈〉で示す。利点は〈支援者がわかった〉〈地域支援者と情報共有ができた〉から『家族の安心感』、〈情報共有ができる〉〈初回訪問時の不安軽減〉から『支援者側の安心感』、〈移動の負担がない〉〈日程調整がしやすい〉から『参加しやすい』、その他『感染対策がとれる』が抽出された。欠点は〈音声が聞き取りにくい〉〈発言者がわかりにくい〉から『情報の伝わりにくさ』、〈発言のタイミングが難しい〉〈細かい確認がしにくい〉から『コミュニケーションのとりにくさ』、その他『患者・家族像の把握のしにくさ』『ICT の利用に関する不安』が抽出された。今後もリモートカンファレンスに参加したいかとの問いには66.7%が「参加したい」と回答し、「対面かリモートを選択できるハイブリット形式で開催してほしい」との意見もみられた。【考察】リモートカンファレンスは情報伝達がしやすく、支援者の患者理解につながり、顔が見える話し合いにより家族・支援者双方から安心感を得ることができた。また参加しやすさ、感染対策からもリモートカンファレンスは有用であると考えられる。改善点として、運営面での改善、写真や動画によるケア方法の共有、参加方法を選択できるハイブリット形式での開催などを検討していく必要がある。