第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演31群 在宅療養移行支援④

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場3 (304)

座長:吉村 浩美

[口演M-31-5] 終末期せん妄発症時に退院調整を行った2事例

- ACP を活用し在宅療養に繋げた面談を振り返って-

天坂 純子, 土屋 儀志子, 平山 和枝 (埼玉医科大学国際医療センター)

Keywords:アドバンス・ケア・プランニング、終末期がん患者、終末期せん妄、退院調整、在宅療養

【抄録】
【目的】終末期せん妄は、妄想や辻褄の合わない会話といった精神状態が出現しやすい。よって、終末期において約70%の患者で意思決定が不可能となる。そこで積極的に患者の意見を傾聴し、最後の希望を支援することは退院支援看護師として重要な役割である。本研究では、終末期せん妄を有するがん患者2 事例に対して、早期にACP を取り入れて退院支援調整を行うことの有用性を明らかにすることを目的とした。【方法】医師より病状告知後のA 氏(70 代女性・夫と2 人暮らし)、B 氏(40 代女性・夫と子供2 人との4 人暮らし)に対し、角田の「ACP 実践に必要な意思決定支援スキル」を参考に退院支援専従看護師が繰り返し面談を行った。山本の「ケアの意味を見つめる事例研究」を用いて患者家族の言動と、それに対する看護実践を抽出し、内容の類似性に沿ってカテゴリー化した。【結果】A 氏:夫への介護負担を心配するA 氏の思いと、夫がA 氏に対する思いの変化や、終末期せん妄発症時に在宅療養希望となったA 氏の思いを抽出した結果、看護実践カテゴリーとして「変化する患者と夫の気持ちに寄り添う」「退院後も安心して過ごす場の提供」サブカテゴリ―として「安心して語れる時間を多く作る」「せん妄時でも患者の気持ちを汲み取る」「在宅療養に向けて速やかな退院調整」「A 氏を失った後の夫のサポート」を抽出した。B 氏:家族に痛い姿を見せたくないというB 氏の思いと、実母のB 氏に対する揺れ動く思いの変化や、終末期せん妄発症時に在宅療養希望となったB 氏の思いを抽出した結果、看護実践カテゴリーとして「変化する患者家族の気持ちに寄り添う」「患者家族の気持ちを繋ぐ」「退院後も安心して過ごす場の提供」サブカテゴリ―として「辛い気持ちを受け止める」「せん妄時でも患者の気持ちを汲み取る」「安心して語れる時間を多く作る」「子供の変化を探る」「介護者の気持ちを確かめる」「在宅療養に向けて速やかな退院調整」を抽出した。【考察】2 事例共に入院早期からACP を行い、「変化する患者家族の気持ちに寄り添う」「安心して語れる時間を多く作る」関わりを持ったことで、患者家族の気持ちを多く表出することができ、終末期せん妄の合間でも患者の希望を表出できたと考えられた。また「速やかな退院調整」「退院後も安心して過ごす場の提供」を行ったことで、家族も在宅療養に対する安心・自信に繋がったと考える。