第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演32群 在宅療養移行支援⑤

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場3 (304)

座長:南里 玲子

[口演M-32-4] 患者と家族の退院後の生活をモニタリングするテレフォンフォローアップの現状

小野 五月 (聖隷三方原病院)

Keywords:退院後の生活、モニタリング、テレフォンフォローアップ

【抄録】
【目的】本研究の目的は、病棟看護師が退院後間もない時期の患者宅に電話をかけて在宅で問題なく生活できているかどうかをモニタリングするテレフォンフォローアップ(Telephone Follow Up、以下TFU)の近年の傾向、電話を用いた看護介入の現状を明らかにすることである。【方法】1.調査対象期間:2013 年10 月1 日から2020 年9 月31 日。2.分析対象データ:看護記録、診療録、職場のまとめが記された文書。個別データ(年齢、退院日から退院後TFU 実施までの期間、通話時間、対応者、対象者、退院後生じた問題、退院後の生活の満足度、通話時間等)と職場のTFU まとめ(TFU が職場にもたらした成果と課題、課題解決にむけた対応策)。3.分析方法:個別データは、職場毎の実施数、対象者、TFU 満足度、対応の依頼先で整理し、経年比較した。職場のまとめは、TFU の成果・課題・問題解決のための対応策が記載されている文脈を抽出し、その文脈ごとに要約を作成し、類似内容でカテゴリー化した。3.倫理的配慮:本研究は所属施設の承認を得て実施した(21 - 50)。【結果】1.TFU の近年の傾向:8 年間のTFU 累積件数は2,272 件(2013年度54 件、2014 年度92 件、2015 年度218 件、2016 年度310 件、2017 年度261 件、2018 年度378 件、2019 年度395 件)であった。2020 年度は563 件で、23 職場中14 職場で増加していた。対象者は、患者本人の場合が最も多く、次いで家族が多かった。所要時間が平均より短い群、実施時期は適切と回答した群、担当看護師が対応した場合、患者本人よりも家族のほうがTFU 満足度は高かった。退院後に生じた問題への対応の依頼先は、外来看護師、主治医、ケアマネージャー、訪問看護師の順に多かった。2.TFU の課題:「TFU の機会が少なく必要性が浸透しない」「患者層の変化に合わせた対象者の選定が難しい」「患者・家族と約束した日時に電話できない」「TFU を実施するタイミングが難しい」などが、職場の課題として抽出された。【考察】入院中に親身に関わった看護師が、病院から在宅に移行したばかりの時期に電話で患者・家族に生活状況を確認する、情報を外来看護師や地域関係者に繋ぐことは、退院後の患者と家族の生活上の問題可決を促し、療養生活の継続につながる支援になっていると考えた。