第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演33群 看護教育~既卒者・異動者への教育~

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場4 (102)

座長:西村 宣子

[口演M-33-3] 育児短時間勤務制度を利用する看護師に対する組織的な教育支援の検討

-クリニカルラダー別研修に焦点をあてて-

佐藤 恵子, 井上 真樹, 荒堀 有子, 澤村 真希, 亀谷 美紀, 佐々木 直子, 藤原 智恵美 (市立釧路総合病院)

キーワード:育児短時間勤務制度、クリニカルラダー別研修、教育支援

【抄録】
【目的】A 病院に勤務する育児短時間勤務(以下育短)中の看護師が感じているクリニカルラダー別研修(以下ラダー別研修)に対する考えを明らかにする。【方法】A 病院で育短制度を利用している女性看護師39 名に研究者らが独自に作成した無記名自記式質問紙調査を実施し、単純集計の結果を比較分析した。倫理的配慮:A 病院看護部倫理委員会の審査を受け承認を得た。研究の主旨と方法、プライバシーの保護、研究への協力を拒否した場合や研究の途中で辞退した場合でも不利益が生じないことを文書で説明し、調査用紙の回収により同意を得たものとした。【結果】28 名から回答を得た(回収率72%)。育短中のラダー別研修については「参加した」25%、「参加しなかった」75%であった。ラダー別研修に参加した看護師の受講理由は「自ら研修の受講を希望した」0%、「上司から受講を勧められた」100%であった。ラダー別研修を受講しなかった理由は「受講を希望したが勤務時間外だった」10.7%、「ラダー別研修があることを知らなかった」35.7%、「年度途中に復職したためすでに受講者が決まっていた」10.7%、「育短中は研修に参加できないと思っていた」28.6%、「ラダー別研修の必要性を感じない」10.7%であった。育短中のラダー別研修への参加に対する考えについては「勤務時間内であれば受講したい」45.2%、「将来のキャリアを考えると受講したい」22.6%、「育短中のため研修で病棟を離れるのは申し訳ないと思うので受講しない」16.2%、「育児に専念したいため受講は希望しない」9.7%、その他6.5%であった。育短中に教育担当者からどのような支援を望むかについては「e-learning を活用してラダー別研修を受講できるようにしてほしい」54.5%、「研修の日時に合わせて勤務時間を変更できるようにしてほしい」24.2%、「何を望んでいいのかわからない」18.2%、「望んでいない」3% であった。【考察】研修を受講した育短中の看護師は自分の意思で参加していたとはいえない現状が明らかになった。しかし、育短中であっても条件が整えば研修を受講したいと考える看護師がいる一方で、育児に専念したいと考える看護師もいた。育短中の看護師個々の環境を考慮し、多様性を尊重した教育プログラムの検討が必要である。