第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演37群 リスクマネジメント

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場5 (103)

座長:野田 洋子

[口演M-37-4] 内服アセスメントに対する看護師の意識変容への取り組み

森 郁登, 赤塚 有真, 大塚 日菜子, 高岡 雅代, 中村 真喜子 (浜松医科大学医学部附属病院)

キーワード:内服アセスメント、インシデント、意識変容

【抄録】
【目的】入院患者の内服自己管理によるインシデントが複数件重なり、その要因は看護師が1 人で内服アセスメントをしていることが考えられた。より適切な内服アセスメント実施のために、看護師の意識変容に対する取り組みが必要である。患者に合った適切な内服アセスメントが実施でき、看護師の内服アセスメントに対する意識変容を目的として活動した。【方法】まず内服アセスメント評価ツールを作成した。A 病棟看護師32 名に対し、内服アセスメントに関する現状意識調査を実施し単純分析した。次に薬剤師3 名と共に看護師2~ 3 名による内服アセスメントを開始した。その後薬剤師3名と看護師2 ~ 3 名による内服アセスメント実施に関して看護師意識調査実施し単純分析した。【結果】内服アセスメント評価ツールを作成し、その後の管理方法の確認をするために、看護師現状の意識調査を実施した。結果、複数看護師でアセスメントしている割合は19.3%、薬剤師と意見交換していた割合は12.9% と1 人でアセスメントしている事が多いことが分かった。改善策として、担当看護師がリーダーやペア、薬剤師と意見交換し内服アセスメントを実施した。その結果、看護師意識調査では入院時に内服アセスメントをする際、2 ~ 3 名の看護師でアセスメントしている割合は93.1%、薬剤師と意見交換している割合は79.3% と上昇した。また、看護師からは薬剤師や2 ~ 3 名の看護師と意見交換を行う事で以前より安心してアセスメントを実施できているという意見が聞かれた。【考察】担当看護師が内服アセスメントを行い、次の勤務者が内服アセスメント評価ツールを用いて情報共有することで、リストアップした患者の内服間違いや飲み忘れなどの早期発見に繋がったと考える。しかし内服アセスメントツールを使用するだけでなく、担当看護師が行った内服アセスメントについて薬剤師と意見交換することで、自身のアセスメントを振り返ることができた。P.A. クラントンは「大人の学習とは、学びを通じて自己について振り返り、経験を解釈するための前提や価値観などを再形成していくことと捉えるのである」と述べている。他者と意見交換し新たな考えがあることに気付き、患者にとってより適切な内服管理方法を学ぶ機会に繋がった。よって今回の活動が看護師の意識変容に繋がり、多角的な視点を取り入れ内服アセスメントを実施できるようになったと考える。