[口演M-42-5] 高齢術後患者の自己調整鎮痛法(PCA)に影響を及ぼす要因
Keywords:自己調整鎮痛法、疼痛管理、高齢術後患者
【抄録】
【目的】術後の疼痛管理は患者にとって不快な感覚を除去するだけでなく、術後合併症の予防にもつながる。硬膜外鎮痛法は比較的少量の薬物投与で優れた鎮痛効果が期待でき、有効な鎮痛法といわれている。疼痛の状況に合わせて患者自身がボタンを押すことで鎮痛薬の投与を施行する自己調節鎮痛法(Patient Controlled Analgesia:PCA, 以下PCA) は海外から国内へと普及され、A 病院でも消化器外科術後の患者に対し硬膜外鎮痛法のPCA 使用が開始となった。近年増加傾向にある高齢術後患者もPCA 使用の適応となるが、PCA使用が困難な患者が多い。そのため本研究は、高齢術後患者のPCA 使用に影響を及ぼす要因を調査し高齢術後患者のPCA の支援方法を検討することとした。【方法】A 病院B 病棟に入院した65 歳以上の消化器外科の患者を対象とし、個人情報の匿名化、研究協力の参加・拒否・中断の自由について説明し同意を得た。診療録や看護記録よりPCA 操作に影響を及ぼす因子等を、また術前のPCA の説明や操作練習、実際にPCA を使用した意見等を質問紙より情報を得て分析を行った。【結果】対象者19 名で、男性12 名、女性7 名、平均年齢は74.78 歳(67 ~ 86 歳)であった。術前のPCA 操作練習では対象者全員が問題なく操作出来ていたにも関わらず、術後に問題なくPCA を使用できていたのは6 名で、そのうち4 名が75 歳未満であった。術前のPCA 操作説明への理解度も良好であったのは75 歳未満であった。術後にPCAを使用できなかった理由は「ボタンが固い」、「手に力が入らず押せなかった」といった術後の<心身の状態>や「どこにボタンがあるかわからない」、「身体に管がたくさんついていたので複雑だった」といった術後の<周囲の環境>などが影響していた。【考察】高齢術後患者においては加齢に伴う手指巧緻性や握力、環境への順応性の低下などが術後のPCA操作に影響を及ぼしていたため、術後の体位や輸液ライン留置などの環境を想定した術前の説明や操作練習が必要である。しかし術後間もない急性期においては、手術による生体侵襲もあり、更に加齢に伴う身体機能の低下した高齢患者においては手術侵襲による心身への負担が大きいことが予測される。そのため成人術後患者とは違い、高齢者の心身の特徴を捉えた医療者による細やかな配慮と支援が必要であると考える。
【目的】術後の疼痛管理は患者にとって不快な感覚を除去するだけでなく、術後合併症の予防にもつながる。硬膜外鎮痛法は比較的少量の薬物投与で優れた鎮痛効果が期待でき、有効な鎮痛法といわれている。疼痛の状況に合わせて患者自身がボタンを押すことで鎮痛薬の投与を施行する自己調節鎮痛法(Patient Controlled Analgesia:PCA, 以下PCA) は海外から国内へと普及され、A 病院でも消化器外科術後の患者に対し硬膜外鎮痛法のPCA 使用が開始となった。近年増加傾向にある高齢術後患者もPCA 使用の適応となるが、PCA使用が困難な患者が多い。そのため本研究は、高齢術後患者のPCA 使用に影響を及ぼす要因を調査し高齢術後患者のPCA の支援方法を検討することとした。【方法】A 病院B 病棟に入院した65 歳以上の消化器外科の患者を対象とし、個人情報の匿名化、研究協力の参加・拒否・中断の自由について説明し同意を得た。診療録や看護記録よりPCA 操作に影響を及ぼす因子等を、また術前のPCA の説明や操作練習、実際にPCA を使用した意見等を質問紙より情報を得て分析を行った。【結果】対象者19 名で、男性12 名、女性7 名、平均年齢は74.78 歳(67 ~ 86 歳)であった。術前のPCA 操作練習では対象者全員が問題なく操作出来ていたにも関わらず、術後に問題なくPCA を使用できていたのは6 名で、そのうち4 名が75 歳未満であった。術前のPCA 操作説明への理解度も良好であったのは75 歳未満であった。術後にPCAを使用できなかった理由は「ボタンが固い」、「手に力が入らず押せなかった」といった術後の<心身の状態>や「どこにボタンがあるかわからない」、「身体に管がたくさんついていたので複雑だった」といった術後の<周囲の環境>などが影響していた。【考察】高齢術後患者においては加齢に伴う手指巧緻性や握力、環境への順応性の低下などが術後のPCA操作に影響を及ぼしていたため、術後の体位や輸液ライン留置などの環境を想定した術前の説明や操作練習が必要である。しかし術後間もない急性期においては、手術による生体侵襲もあり、更に加齢に伴う身体機能の低下した高齢患者においては手術侵襲による心身への負担が大きいことが予測される。そのため成人術後患者とは違い、高齢者の心身の特徴を捉えた医療者による細やかな配慮と支援が必要であると考える。