第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演5群 精神看護②

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場2 (303)

座長:鈴木 美央

[口演M-5-2] 精神障害を有するCOVID-19 患者に対する看護介入の実態

太田 弥世, 宇都宮 智 (国立精神・神経医療研究センター)

Keywords:COVID-19、精神疾患、認知症

【抄録】
【目的】A 病院のCOVID-19 専用病床に入院した精神障害を有するCOVID-19 中等症・軽症患者に対する看護実践を振り返り、患者に対する有用な看護介入を明らかにすることを目的とした。【方法】研究デザインは診療録を調査した後ろ向き研究とした。対象者は、A 病院専用病床に2020 年8 月10 日~ 12 月30 日の間に入院した患者とした。調査内容は、1. 患者の入退院時のバーセルインデックス(以下BI)(0-20:点数が高いほどADL が自立)のWilcoxon 符号付順位検定を行った。2. 認知症患者に対する入退院時の認知症行動障害尺度(以下DBD)(0-112:点数が低いほど問題行動がない)のWilcoxon 符号付順位検定を行った。3. 対象者の看護ケアの実践内容を診療録から調査した。【結果】対象者は33 名で、年齢69.6 ± 22.1 歳であった。主な疾患は、器質性精神障害患者18 名、統合失調症患者3 名であった。また、器質性精神障害患者18 名は、年齢84.6 ± 10.8 歳であった。対象者の22 名に感染拡大防止のため身体拘束が行われた。入院期間は、12 ± 5.0 日間であった。BI は、入院時13.9 ± 6.9 点、退院時は14.0 ± 7.1 点で有意な差は認められなかった。また、BIの点数が上昇した人は4 名、低下した人は5 名、変化なしは24 名であった。上昇、低下はいずれも器質性精神障害患者であった。DBD は、データに欠損のある4 名を除いた14 名を対象とした。入院時16.9 ± 7.7 点、退院時19.7 ± 12.6 点で優位な差は認められなかった。また、問題行動の頻度は退院時に7 名が減少し、3 名が変わらず、4 名が多くなった。対象者33 名の看護ケアの実践内容は、ADL 低下予防として、歩行・運動等を24 名に実施した。認知機能低下予防として、おやつなどの時間をともに過ごすことを15 名、脳トレーニングなどを8 名に実施した。【考察】BI、DBD は入院時で退院時に有意な差は認めなかったもののCOVID-19 専用病床の入院患者に対し、歩行・運動等は、ADL 低下予防につながり有用な看護と考える。また、認知機能低下予防としての脳トレーニングやおやつの時間をともに過ごすことは、生活リズムを整え、器質性精神障害患者の情緒安定に効果があったと推測された。