第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演7群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護①

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場3 (304)

座長:田口 智恵美

[口演M-7-1] 看護師による超音波機器下末梢静脈確保の有用性

村島 達郎, 田中 瑞穂, 高橋 祐哉 (横浜未来ヘルスケアシステム戸塚共立第1 病院)

Keywords:末梢静脈路確保、血管径、エコー、血管深度

【抄録】
【目的】本研究は、看護師による従来の末梢静脈路確保(pripheral itravenous catheter: 以下PIVC)と超音波機器(以下: エコー)ガイド下のPIVC を比較し、臨床での看護師によるエコーガイド下PIVC 確保の有用性を明らかにする事を目的とする。【方法】2021 年3月1 日~ 2021 年9月30 日の間で、A 病棟に勤める看護師15 名によるPIVC の確保を対象とした。調査方法として、調査期間中にA 病棟へ入院しPIVC が必要となった患者195 名に対して、穿刺者となった看護師が穿刺の機会毎に交互にエコー使用群(以下:A 群)と未使用群(以下:B 群)に分け、PIVC の確保を実施した。調査内容として、初回穿刺成功率、穿刺所要時間、患者の疾患、年齢、挿入した留置針の太さ等の基本属性に加え、患者の血管の状態として、血管の目視・触知の可否、エコー断層画像による患者の血管径、血管深度を記録した。測定結果については、SPSS Stratistics28 を用いて統計学的分析を行い、統計学的手技については、χ2 検定を用いて群間の偏りがない事を確認した。エコーの測定結果への影響が無いように、成功の有無、穿刺所要時間、患者の血管径、血管深度の測定は1 年以上臨床でエコーの使用経験がある看護師が実施した。【結果】A 群の成功件数は68 件/108 件(63.7%)、B群の成功件数は57 件/92 件(60.2%)であり、両群で成功率に有意差は認めなかった。また、患者の基本属性による成功率に関して有意差は認めなかった。血管の状態として、目視不可・触知不可の両方を認めた患者における成功件数は、A群43 件、B 群15 件とエコー下でのPIVC 確保の方が、有意に成功率が高かった。【考察】本研究では、A 群とB 群で成功率に有意差は認めなかった事から、エコーガイド下PIVC確保は、臨床へ安全な導入が可能であると考える。本研究の対象となった看護師は、エコーの使用経験が無かった。その為、今後エコー技術が向上する事で、エコー下PIVC 確保の成功率が上昇する可能性があり、患者の血管の状況に合わせ、エコー使用の有無を選択したPIVC の確保が可能と考えられる。また、エコー使用による血管確保率は有意に高く、PIVC 確保困難症例へエコーガイド下穿刺を導入する有用性が示唆された。