第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演7群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護①

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場3 (304)

座長:田口 智恵美

[口演M-7-2] ACS 治療患者の健康への意識変化に関する調査

-若年者群と高齢者群で差異はあるのか-

今水流 彩乃, 対馬 圭子 (心臓血管研究所付属病院)

Keywords:ACS、意識変化、PCI 後、2 次予防、年齢

【抄録】
【目的】急性冠症候群(Acute coronary syndrome:ACS)発症後の二次予防において、生活習慣の改善、患者の健康への意識変化は非常に重要である。本研究はACS 治療患者の健康への意識変化を調査し、看護介入の足がけとすることを目的とした。【方法】2020 年4 月~ 12 月に、ACS 発症にてPCI を受けた67 例を対象にアンケート調査を実施した。調査内容は患者背景6 項目、疾患特性4 項目、健康への意識変化14 項目とした。意識変化は5 段階のリッカート尺度(非常にそう思う、まあそう思う、どちらでもない、あまり思わない、全く思わない)を用いた。対象を60 歳未満の若年者群(A 群:24 例)と、60 歳以上の高齢者群(B 群:43 例)の2 群に分け単変量解析にて検討した。倫理的配慮として、公益財団法人心臓血管研究所倫理委員会の承諾を得て無記名アンケート調査を行い、個人情報を厳守した。【結果】アンケート回収率はA 群50%(12 例)、B 群74%(32 例)であり、有効回答率はA 群100%(12 例)、B 群91%(29 例)であった。患者背景、疾患特性の項目では、カテーテル治療歴(P 値0.016)、職業の有無(P 値0.005)、高血圧症(P 値0.035)に有意差を認めた。治療後の意識変化に関する項目で、非常にそう思う、まあそう思うと回答した割合は、運動習慣(A 群67%、B 群68%、P 値0.805)、通院(A 群75%、B 群83%、P 値0.916)、内服(A 群67%、B 群86%、P 値0.601)と両群の意識変化に有意差はなかった。一方で食生活の意識変化では、あまり思わない、全く思わないと回答した割合がA群92%、B 群83%であり2 群間に有意差を認めた(P 値0.003)。治療前の喫煙者数は、A 群33.3%(4 例)、B 群17.2%(5 例)であり、治療後の意識変化は、非常にそう思う、まあそう思うと回答した割合が両群100%であった。しかしながら完全な禁煙ができていたのは、B 群68%に対しA 群は20%であった。【考察】虚血性心疾患の二次予防には、患者の生活習慣変容への動機づけが重要である。本研究結果では、B 群に比してA 群の食事への意識変化および禁煙の実施が低かった。今後の課題として、A 群の食生活改善の啓蒙、および禁煙実施への看護介入方法を検討し、ACS 発症後の二次予防に繋げていくことが重要と考えられる。