第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演10群 ポストコロナ社会の看護への示唆③

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:深尾 亜由美

[口演O-10-1] A 病院に勤務する看護職員のCOVID-19 発生後3 年目の就業継続意思に影響する要因

菊池 直子, 引地 由佳, 徳岡 葵, 三國 奈々枝 (KKR 札幌医療センター)

キーワード:OVID-19、就業継続意思、働きがい、NWI-R

【目的】A 病院に勤務する看護職員の就業継続意思に影響する要因を明らかにする。【方法】研究対象はA 病院に勤務する3 年目以降の看護職員362 名とし、1、2 年目はCOVID-19発生後の入職であるため対象から除外した。研究対象者に質問紙を配布し回収した。倫理的配慮は無記名の自記式質問紙で個人を特定されないようにし、得られたデータは研究以外の目的に使用しないことを明記した。A 病院の倫理委員会の承認を得た。データの分析方法は各項目の記述統計をした。看護労働環境NWI-R23 項目の因子構造を確認するため、本研究で得たデータを最尤法・バリマックス回転にて因子分析を行った。就業継続意思に影響する要因を明らかにするために、単変量で有意な関連がみられた変数を独立変数とし、就業継続意思を従属変数とする強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を行った。【結果】「今の職場で働き続けたいと思いますか」の問いに「非常にそう思う」、「ややそう思う」と回答した者は124 名(51.2%)であった。NWI-R の23 項目に対して因子分析を行い5 つの因子が抽出された。単変量解析の結果、就業継続意思と有意な関連がみられた「休み希望」、「働きがい」、「勤務場所」およびNWI-R の『看護管理者のマネジメント能力』、『看護師- 医師の関係』、『人員配置』、『キャリア・アップ支援』の4 つの因子を独立変数とし、強制投入法によりロジスティック回帰分析を行った結果、就業継続意思の有無に影響を及ぼしていたのは、「働きがいがあること」(p<0.001)と「看護師- 医師の関係が良いこと」(p=0.014)と「人員配置」(p=0.001)の3 つの要因であることが明らかになった。【考察】COVID-19 発生後、感染対策や業務体制の変化によって、今までと異なり思うような看護が出来ないと感じている看護師が潜在している可能性はある。環境が変化した中で、自身の看護の価値や新たな実践を見出していくことが重要と考える。「看護師- 医師の関係が良い」と感じていることが就業継続意思には関連していることが明らかになった。看護師- 医師の関係が良いと感じている看護師は、COVID-19 により感染対策やマニュアルが随時更新されていく中で、お互いがチームの一員として支え合えたのではないかと考えられる。医師と良好な関係をどのように築くかがより重要である。