第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演11群 健やかに生まれ育つことへの支援

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:石川 紀子

[口演O-11-3] 産科のある病院に勤務するスタッフの出産施設選択に関する要因

―出産施設として選択してもらうために―

石田 千陽, 河本 由子 (高井病院)

Keywords:出産施設、選択理由、重要視

【目的】A 病院に勤務する女性スタッフの出産施設選択の要因を探り、出産施設として選択してもらうためにどのような側面に働きかけが必要かを明らかにする。【方法】対象は出産経験の有無や年齢制限は設けず、A 病院に勤務する医師以外の女性スタッフ430 名全員に自作のアンケート用紙を配布。データ分析はExcel 単純集計とし、自由記述の回答は類似性と相似性に着目してカテゴリー別に分類し分析した。倫理的配慮として所属施設の看護部の承認を得、対象に研究の目的、自由意思による参加、匿名性の保持を書面で説明。【結果】アンケート配布430 名、回収257 名、回収率は59.7%で有効回答数は240 名(93.3%)であった。「出産施設を選ぶ時に重要視すること」は『アクセス・立地条件』170 名(70.8%)『体制』144 名(60.0%)『医療者の対応・評価』106 名(44.2%)の順で多かった。「A 病院を出産施設として選択する可能性」は「ある」34 名(14.2%)「分からない」92 名(38.3%)。「ない」114 名(47.5%)だった。【考察】出産施設選択で『アクセス・立地条件』を重要視した理由は「病院への通いやすさ」が多く、出産施設へ短時間で到着できることが妊産婦の安心につながる。『体制』にした理由は「なにかあった時に」と漠然とした異常事態に対応できる施設であり、安全な妊娠や出産をより強く求めているといえる。『医療者の対応・評価』にした理由は「丁寧で心地よい接遇」が多く医療関係者とストレスがなく安心な関係でいたい思いが感じられる。A 病院を出産施設に選択しない理由を分析すると、「羞恥心」が抽出され、職場の人との関わりに強い抵抗感があることが分かった。「精神的な気疲れ」は、上司や同僚との関わりにストレスを感じるという内容だった。「仕事と私生活を区別したい」は、貴重なライフイベントである出産を仕事の責務やストレスが感じない場所で迎えたい思いがあると考えられる。「プライバシーが守られない」は、電子カルテで情報が閲覧できるため、情報の取り扱いや個人情報の保守に対する意識の高さが推測できる。「産科の情報不足」は、自施設の産科の体制や設備について理解していないことが明らかになった。A 病院が出産施設として選択してもらうためには、これらを改善するための取り組みが必要である。