第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演15群 精神看護

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:多喜田 恵子

[口演O-15-2] 精神科外来看護師による自殺ハイリスク者に対する退院後看護面接

―関わりの視点と支援強化の課題―

武井 千寿1, 齊藤 公子1, 野澤 由美2 (1.山梨県立北病院, 2.山梨県立大学看護学部)

Keywords:精神科外来、外来看護、自殺企図未遂、自殺予防

【目的】自殺未遂者の再企図防止の支援を強化するために、精神科外来看護師による自殺ハイリスク患者に対する退院後看護面接の関わりの視点と支援強化の課題を明らかにすること。【方法】1.研究協力者 A 精神科病院の外来に所属する看護師7 名(管理者も含む) 2.データ収集法 インタビューガイドを作成し、1 人20 分~ 40 程度の半構造的面接を実施した。面接内容は、対象者の了解を得てIC レコーダーに録音し、逐語録を作成した。3.分析方法 逐語録を類似性に基づいて分類し、帰納的に分析した。逐語録からコードを抽出した後、研究者の解釈が適切であるかを研究協力者に確認した。4.倫理的配慮 A 病院倫理審査委員会の承認を得た。研究対象者に文書・口頭で研究内容、倫理的配慮について説明し、同意を得た。【結果】研究協力者は、男性2 名、女性5名で、看護師経験年数は平均37.1 年(SD=10.9)、精神科経験年数は平均19.0 年(SD=7.2)、精神科外来経験年数は平均6.3 年(SD=2.6)であった。分析した結果、精神科外来看護師が実施する自殺ハイリスク患者に対する退院後看護面接の関わりの視点は、<自己開示レベルを見極め安全な心理的距離をはかる><内面の解放を促し寄り添う><希望が持てる言葉をかける><保護因子を強化・増やす><対処法を共有・強化・探索する><再企図リスクを評価する><関係を繋ぎ止める>の7 つのカテゴリー、19 のサブカテゴリーから構成されていた。【考察】退院後看護面接の関わりは、自殺ハイリスク患者の根源にある孤立・孤独を和らげ、患者が外来との関係が途切れないよう「社会的支持」する役割を担い、リスク評価や保護因子を強化していた。これは自殺予防において推奨されている対応法に通じるものであった。精神科外来看護師は、これらの関わりを心理的な危機介入を専門とする精神科看護のコミュニケーションスキルを活用していた。一方、医療以外及び地域連携を図る為の視点を有した関わりは、本研究の語りの中からほとんど抽出できなかった。現在の関わりを評価し質の向上に努めることや、地域連携を図る為の関わりの視点を加えいくことが、自殺未遂者の再企図防止の支援を強化するための課題である。