第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演15群 精神看護

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:多喜田 恵子

[口演O-15-3] 看護師が実践している身体合併症を有する精神疾患患者が円滑に治療や看護を受けられるための工夫

一場 由衣, 桜沢 早人子, 蝦名 玲, 市川 美代子 (前橋赤十字病院)

Keywords:身体合併精神科病棟、看護師、工夫

【目的】身体合併精神科病棟の看護師が、身体合併症を有する精神疾患患者が円滑に治療や看護を受けられるために、実践している工夫を明らかにし、治療や看護の受け入れが困難な患者に対する効果的な援助方法の示唆を得る。【方法】A病院身体合併精神科病棟の開設時から4 年以上勤務している看護師を対象とし、インタビューガイドに沿って半構造化面接を行った。分析にはBerelson, B. の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いた。倫理的配慮として院内看護部倫理委員会の承認を得て行った。対象者には、本研究の目的と匿名性厳守について説明し、同意書への署名を得た。【結果】対象者は身体合併精神科病棟に勤務している看護師8 名で、平均看護師経験年数15.3 年であり、平均精神科経験年数は5.3 年であった。分析対象者8 名分の逐語録から314記録単位が抽出された。このうち、工夫に当てはまらない記述、抽象的な記述など17 記録単位を除外し、意味内容の類似性に基づき分析した結果、266 同一記録単位群、最終的に看護師が実践している工夫を示す33 カテゴリが形成された。33 カテゴリ中、記録単位数が多かった上位2 つのうち1 つは〔患者の反応が良くなってきた段階で、患者が考える理想や不満について率直に聴き、対話する時間をつくる〕で「入院後、看護師に慣れてきてから、対話の中で患者が今後どのように過ごしていきたいか聞く」を含む22 記録単位(7.4%)から形成された。もう1 つの〔怒りをぶつけられたり、反応が返ってこなくてもただ患者のそばにいるなど諦めずに関わり続け、関心を示す〕は、「患者が何も話さないなど反応がなくても、部屋に行って、ただ座ってそばにいる」を含む22 記録単位(7.4%)から形成された。【考察】33 カテゴリを考察した結果、<患者理解と患者が安心して治療を受けられる環境を普段から整える><患者の特性や反応に合わせて柔軟に対応する><看護チームや多職種と共に働きかける>という3 つの特徴が明らかとなった。それらの特徴から患者が安心して治療が受けられる環境づくりや、身体と精神の両面から介入できるように学習を続けること、さらには日頃から医療者間のコミュニケーションを図ることなどの必要性が示唆された。