第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演2群 看護管理(施設運営)

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:菊地 千夏

[口演O-2-2] 看護処置から見えた看護師の意識の変化

―“ 診療点数早見表” 見える化の効果―

関谷 美里 (上福岡腎クリニック)

Keywords:診療報酬、透析、看護処置、コスト意識

【目的】コスト意識を持ち組織的に看護処置を行うことにより、毎月看護処置の診療報酬が2500 点以上取れるようになった。その過程を明らかにする。【方法】研究内容を説明し承諾の取れた看護師9 名に対し、半構成インタビューを実施し、SCAT を用いた振り返り質的記述的研究。インタビュー記録も無記名で作成し、個人が特定できないよう配慮した。所属施設の倫理委員会の承認を得て行った。【結果】コスト意識というと、「無駄に使わない」「コスト漏れをしない」「物品の値段を意識する」という病院経営を主体とした意見が上がってくる。診療報酬点数を見える化したことも、実践している看護は算定し、コスト漏れを防ごうとしたことから始まった。最初は、何が包括されていて、何が算定できるのかも不確かで、事務に一つひとつ確認しながら整理した。そのことにより看護スタッフが興味を持って看護処置に取り組むことができるようになった。サテライトの血液透析専門のクリニックで、『外科処置を行うことをどう考えるか』半構成インタビューをSCAT 分析した. その結果は次の3 点にまとめることができる。(1)処置の成果がわかることで看護師のやりがいにつながっている。(2)自分のやった処置でお金が取れると思うとやる気になる。(3)患者の予防意識が低いことがわかった。【考察】サービスマーケティングは、視覚や聴覚で認識してから購入することができない“ 無形” であるものを販売する難しさがある。看護サービスも診療報酬で算定するが、現場の看護師は金銭と結び付けて考える感覚が薄い。診療報酬点数を見える化したことで、A クリニック全体のコスト意識が変わってきた。維持することが目的の透析治療では、創傷の治癒過程は新鮮である。記録は継時記録だが、情報を共有するため、自身の行った看護行為を具体的に記録するようになった。それにより、処置点数が確実に取れている。コスト意識とは、自分の働きが組織に利益を与えているのか、それとも損失を与えているのかということである。病院経営主体に医療材料を適正使用し無駄をなくすだけでなく、患者主体に看護の力で生み出すこともできる。処置を行っているのは看護師だが、処置を行うためにチーム業務の流れが変わり、多職種連携で算定している診療報酬点数である。可能な限り患者自身が在宅で過ごせるよう、クリニックでできることを追求していきたい。