第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演22群 質の高い看護人材を育成する教育②

Sat. Sep 30, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:佐久間 博子

[口演O-22-3] 段階的研修を取り入れた外来看護師によるアドバンス・ケア・プランニングの取り組み

坂本 陽子, 藤原 加奈, 安藤 志保, 江口 啓子 (大阪市立十三市民病院)

Keywords:アドバンス・ケア・プランニング、外来看護師、人生会議 研修会

【目的】A 病院では、アドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)のリーフレットである「もしもシート」を使用し、普及啓発に努めている。外来看護師(以下看護師)にACPについて調査した結果、方法やタイミングなど、実施に戸惑いを感じていることが分かった。そこでACP に対する知識を深めることで、実践件数が増えると考え、看護師に研修会を行い、実践に向けた取り組みを行った。その結果、意識の変化と件数増加につなげることができたため報告する。【方法】看護師27 名に対し、ACP の実践に向けた研修会を実施した。介入期間は、2021 年7 月1 日~ 2023 年2 月28 日であった。方法は(1)ACP の基礎知識、タイミングと記録方法(2) 多職種で連携しACP を実践した事例の検討(3) もしもシートを用いた具体的実践方法(4)ACP の定期カンファレンスを実施した。取り組み前後にアンケート調査し、その結果を単純集計、及び実践件数を比較した。調査内容は、ACP の理解、記録方法の理解、実践の可否とし、選択肢と自由記載を用いた。倫理的配慮は、A 病院の看護研究倫理委員会の承認を得た。【結果】取り組みの前後で、「ACP を知っている」は、44% から100%、「記録方法を知っている」は、27%から100%、「実践できる」は、32%から69%に増加した。ACPの実践件数は、年間5 件から61 件に増加し、74%の看護師が実践した。また自由記載では「患者が、自分のゴールを見据える機会となった」「医師と情報共有し、ACP を意識するようになった」「人員や場所の確保が難しい」との意見があった。【考察】研修内容を、ACP のタイミングや記録などの基礎知識から、実践的な介入方法へと段階的に進めたことは、支援に必要な知識や技術の習得と定着につながった。多職種による介入事例の検討では、実際の支援経過を説明したことにより、具体的な実践の参考になったと考える。また知識の習得後、ACP 定期カンファレンスで、情報共有や意見交換したことにより、看護経験を深めること、実践能力の向上につながった。さらにACP の実践に至らなかった看護師も、カンファレンスに参加し意見交換することで、知識や実践力が得られた。以上の結果より、意識の変化と実施件数を増加できたと考える。今後は、人員や場所の確保と、実践手順をマニュアル化し取り組みを継続する必要がある。