第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演5群 看護職の心の働きとその対処②

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:塩田 美佐代

[口演O-5-1] 看護師が暴力に介入する際に生じる感情の変化とその対処方法

森田 正明, 澤田 敦, 岩田 尚子, 蜷川 久美子 (東尾張病院)

Keywords:CVPPP、暴力、感情、対処方法

【目的】患者からの暴力を予防・防止する方法である包括的暴力防止プログラム(CVPPP)では、原則の一つとして「落ち着くことができるスキルの獲得」を挙げており、粗暴リスクがある当事者に対応するスタッフが慌てたり怯えたりせずに落ち着いて対応することが、当事者が落ち着くことにも繋がると述べている。しかし、暴力に介入する際の感情コントロールについて取り扱っている先行研究はなく、対処方法が明らかではない。そのため、当研究において、看護師が暴力に介入する際に抱く感情と感情コントロールの助けとなる対処方法を明らかにする。【方法】暴力に介入した事のあるA病院看護師7 名に対しインタビュー調査を実施(面談室にて40 分程度)。暴力に介入した際に起こった感情の変化や対処方法などについて話してもらった。データ分析は感情の変化や対処方法と思われる文節を抽出し、意味内容の類似性に基づきカテゴリー化した。研究者間で繰り返し検討を重ね、信頼性と妥当性の確保をした。倫理的配慮として、東尾張病院倫理委員会での審査・承認を得た後に、研究協力者に文書と口頭で研究内容およびプライバシーの保護や参加の自由意志などについて、文書の署名にて同意を得た。【結果】看護師が暴力に介入する際に抱く感情について、研究協力者からは<暴力行為に向けられる感情>(44.8%)と<自身の置かれた状況から生じる感情>(55.1%)が語られた。また、対処方法として、「経験や知識に基づく対処」、「対象者理解に基づく対処」、「視点の切り替えによる対処」といった<認識への働きかけ>(54.5%)と、「自身が落ち着く方法を試す」、「人数を集めて対応する」といった<具体的な働きかけ>(45.4%)が語られた。【考察】暴力介入時に生じる感情の変化は、暴力を受けた時に生じる感情と同じものがあり、暴力を受けることを想起されていた事が考えられた。また、状況や自身に対しての不安や焦りといった感情が生じており、先行きの見通しがつかないことが感情の振れ幅を大きくしていた。そのため、感情をコントロールするための対処方法として、暴力行為ではなく人に焦点を当て、対象理解や内在するストーリーを汲むことで感情の振れ幅を小さくしているものと考えられる。また、自身が安心出来る環境を意図せず作り出しており、感情の振れ幅を小さくする要因となっていることがわかった。