第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演7群 医療安全

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:志田 京子

[口演O-7-1] 透析室で勤務するスタッフの医療安全に関する認識

山地 真由美 (洛和会東寺南病院)

キーワード:透析室、血液透析、透析室スタッフ、医療安全、認識

【目的】透析室では、煩雑化する業務の中、様々なインシデントが発生している。しかし、根本的な解決にはつながっていない状況にある。そこで、本研究は透析室に勤務するスタッフの医療安全に対する認識を明らかにすることを目的とし、今後の医療安全への取り組みに繋げたいと考えた。【方法】透析室に勤務する看護師及び臨床工学技士を対象に、半構成的面接法を用いて、日々の業務で医療安全上、気になる点や不安に思う点について、データ収集を行った。得られたデータをもとに遂語録を作成し、Krippendorff の内容分析の手法を用いて分析した。本研究は、所属施設の倫理審査委員会の承認を得て行った。研究参加者へは本研究の趣旨について口頭と文書で説明し、同意書の署名をもって同意を得た。【結果】研究参加者は、看護師3 名及び臨床工学技士3 名で、インタビュー時間は40 分~ 70 分で、インタビューから抽出された「透析室で勤務するスタッフの医療安全に関する認識」に関する文脈は155 文脈であった。分析の結果、≪煩雑な業務からくる焦り≫≪医療安全への意識の低さ≫≪マニュアルの不備および不徹底≫≪活かされないインシデント事例≫≪職種間の業務への考えの違い≫の5 つのカテゴリーに分類された。【考察】≪煩雑な業務からくる焦り≫は多重業務に忙殺されることで、医療安全への意識がそがれ、≪医療安全への意識の低さ≫へとつながり、業務の煩雑さゆえに、本来ならすべきチェックを怠るなどの≪マニュアルの不備および不徹底≫が、さらに、≪医療安全への意識の低さ≫を招いていた。また、インシデントレポートの活用が医療安全文化の醸成に繋がるが、インシデント事例の周知徹底や改善策の話し合いができていないという≪活かされないインシデント事例≫は、さらに≪医療安全への意識の低さ≫を助長していた。臨床工学技士と看護師との≪職種間の業務への考えの違い≫は、業務だけでなくインシデントレポートにも現れ、双方間での意見交換ができない、情報共有し活かせないことは、≪医療安全への意識の低さ≫をさらに強化したと考える。このことから、多職種が協働する現場では、多職種間での情報共有と連携に努めること、そして、同じ医療安全意識を持つための話し合いができる環境や、システムの構築が必要不可欠であることが示唆された。