第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演7群 医療安全

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:志田 京子

[口演O-7-3] クリティカル部門に勤務する看護師のルート類の絡まりへの関心に対する意識調査

春田 茉美, 松下 和弘, 夛田 覚, 木野 毅彦 (日本医科大学付属病院)

キーワード:ライン類、絡まり、コード類、環境整備、整理整頓

【目的】クリティカル部門では、患者に装着・接続される管の数が多い。計画外抜去リスク因子は、せん妄や固定方法などであるが、絡まりとの関係は明確でない。シリンジポンプは軽い衝撃などで急速投与され、絡まりが計画外抜去や患者安全へ与える影響は大きい。そこで絡まりへの関心や発生頻度、原因、有害事象の認識や予防行動を明らかにする。【方法】A 病院のクリティカル部門であるB 病棟、C 病棟に所属する看護師に研究計画書を配布し、記載したQR コードから質問への回答を得た。データは表計算ソフトで管理し、個人の感覚や経験年数での違いなどの関係性を明らかにするため記述統計を行った。本研究はA 病院倫理委員会の承認を得ている。調査は無記名で行い、回答は対象者の自由意志とし、回答をもって同意がされたとみなした。【結果】198 名に依頼し、回答率は29.3%であった。絡まりは全員が認識し、多くは5 本以下で絡まると回答した。後輩看護師への指導は60.7%が経験し、経験年数別でχ2検定を行い、看護師経験、クリティカル経験の1 ~ 5 年目とそれ以上の年数、リーダー経験なしとそれ以上の年数との間でp < .05 であり、有意な関係があった。整理は73.2% が負担に感じ、98.2% が絡まりをストレスに感じていた。計画外抜去との関連は94.6% があると感じていた。患者移動後は98.2% が絡まりを意識し、98.2% が工夫の必要性を感じ、約80% は実際に工夫していた。約25% が絡まりを直す際にバイタルサインの変化を経験していた。整理の必要性は、経験年数が高いほど少ない本数で感じていた。【考察】回答を得た全員が絡まりを認識し、90% 以上が5 本以下で絡まると感じており、クリティカル部門の看護師は経験的に絡まりを意識していると考える。またCT 移送時の工夫にも繋がっていると考える。指導は経験年数で増加し、有意な関係があった。経験年数が高いと少ない本数で整理が必要と感じ、責任感や経験からの暗黙知を用いていると推察される。絡まり自体や直す作業はストレスや負担となっており、業務の質に悪影響を与える可能性がある。約25% がライン整理でバイタルサインの変化を感じており、経験の浅い看護師に危険性を踏まえ指導する必要があると考える。今後は暗黙知を形式知に変え、マニュアル作成や後輩指導へ役立て、患者安全へ寄与させていく必要があると考える。