第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター13 群 質の高い看護人材を育成する教育②

2023年9月30日(土) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (イベントホール)

座長:中川 有加

[ポスターO-13-2] 終末期看護に対する意識変化を目指した演習の取り組み

―ロールプレイングで学べたもの―

清水 留美1, 石澤 恵2, 後藤 愛2, 佛崎 亜弓2, 羽田野 敦子2, 伊藤 やよい2 (1.総合看護専門学校, 2.県立愛知看護専門学校)

キーワード:終末期看護、看護教育、ロールプレイング

【目的】終末期看護に対する学生の意識変化を目指した演習の効果を検討する。【方法】3 年課程の2 年生を対象とした。対象学生には基礎と成人の概論で終末期看護を紹介し、成人の方法論で「緩和ケア」、老年で「臨死期の看護」、在宅で「在宅におけるターミナルケア」を学ぶ。ロールプレイング(以下RP)は、人間関係論や看護方法論で実践している。本演習は、終末期患者の看護を講義し、DVD「がん看護専門看護師田村恵子の仕事」(日本放送出版協会)を視聴後、RP を実施した。RP は「死への思いを語る場面」と「疼痛を話す場面」の2場面で看護師と患者の両方を体験し、1回毎にリフレクションした。研究方法としては、演習前に「死別体験の有無」「コミュニケーションに対する自己認識」についてアンケート実施、及び演習効果を図るためにFATCODFromB-J(Frommelt のターミナルケア態度尺度日本版)(以下、態度尺度)をRP 実施前後に行った。アンケートと態度尺度は単純集計した。また、演習の学びを個人レポートで記録してもらい、講義担当者以外の5 人で学生の学びを確認した。学生には研究目的と個人が特定できないようにデータを暗号化して回収し、成績に関係しないことを説明した。本研究はA 学校倫理審査委員会の承認を得た。【結果】学生71名中68 名から同意を得て有効回答率は97.1%であった。態度尺度は上昇した学生58.8%、下降35.3%、変化なし5.9%で、全体平均点が115.3 点から117.1 点に1.8 点上昇した。死別体験があり、かつコミュニケーションが得意と記述している学生の平均点が最も上昇した。最上昇項目は「死にゆく患者と差し迫った死について話をすることを気まずく感じる(逆転項目)」「家族は死にゆく患者が残された人生を最良に過ごせるように関わるべきである」最下降項目は「死は人間にとって起こりうる最も悪いことではない」であった。レポートに「自分と患者の立場では沈黙の受け止め方が違った」「無理に答えようとしなくても患者の気持ちを安らかにできる」「怖気づいている自分に気づいた」等があった。【考察】今回の演習は態度尺度の上昇から学生の肯定的な意識変化がみられた。死別体験とコミュニケーションを得意と認識している学生に変化があった。学生は、自分の思いや傾向に気づき、何かをすることが重要ではないことに気づくことができた。