第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター3 群 ポストコロナ社会の看護への示唆

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:大迫 しのぶ

[ポスターO-3-3] 介護予防事業に参加する高齢者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)恐怖と精神的健康との関連

矢橋 忍, 長谷川 博亮 (旭川医科大学大学院)

Keywords:感染恐怖、精神的健康、介護予防事業

【目的】新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)における年代別の死亡率では70 歳以降が9 割以上を占めると報告されており、高齢者の不安や恐怖が存在していると考えられる。他の年代に比べ感染による影響を受けやすい高齢者の感染恐怖は、精神的健康に影響を与えているのではないかということに着目した。身体面に加え恐怖に関連する精神面の変化を明らかにすることで、COVID-19 流行期においても、高齢者へ精神的健康を含めた支援策を検討できる意義がある。そこで本研究では、介護予防事業に参加する高齢者のCOVID-19 恐怖と精神的健康との関連を明らかにすることを目的とする。【方法】人口2 万人規模の市及び町の4 箇所を対象とし、介護予防事業に参加する65 歳以上の高齢者179名を対象者とした。新型コロナウイルス感染症恐怖尺度とWHO-5 精神健康状態表簡易版を用いた質問紙調査を実施した。分析は、個人属性の単純集計及び地域間の比較をするために分散分析と多重比較を行った。感染恐怖と精神的健康の関連はピアソンの累積相関係数を算出した。有意水準は0.05とした。倫理的配慮として、調査の目的と参加の任意性、個人情報の保護を説明し、調査票への同意欄の記載にて本研究の同意とした。【結果】4 市町の179 名より回答が得られ、177 名(有効回答率98.9%)を分析した。年齢は、65 ~ 74歳49 名(27.7%)、75 ~ 84 歳98 名(55.4%)、85 歳以上30名(16.9%)であった。新型コロナウイルス感染症恐怖尺度の平均得点は20.4、WHO-5 精神健康状態表簡易版の平均得点は15.14 であった。感染恐怖は年齢間で有意差(F=3.815)が認められ、65 ~ 74 歳よりも85 歳以上の得点が高かった。感染恐怖と精神的健康には有意な相関関係は認められなかった(r=0.002)。【考察】高齢者の感染恐怖と精神的健康に関連は認められなかった。精神的健康は一般的な高齢者の平均値と比較して高い傾向にあったことから、COVID-19 の流行期においても介護予防事業へ継続的に参加することが、身体的機能の維持・向上だけではなく、精神的健康の向上に寄与している可能性が考えられた。感染恐怖は65 ~ 74 歳より85 歳以上の年齢が高い結果から、特に後期高齢者に対してCOVID-19 に関連した不安や恐怖を考慮した対応の必要性が示唆された。