第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター3 群 ポストコロナ社会の看護への示唆

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:大迫 しのぶ

[ポスターO-3-4] COVID-19 パンデミック中の高齢者の生活の変化に伴う心理状態

古角 美保子, 澤見 一枝 (奈良県立医科大学医学部看護学科)

Keywords:COVID-19 パンデミック、 高齢者、生活の変化、心理状態

【目的】COVID-19 のパンデミックによる生活の変化に伴い、心理的不安やストレスが増加している。パンデミック下での生活の変化は、高齢者の心理面への悪影響が予測されるが、日本の高齢者を対象に調査した研究は見当たらない。そこで本研究では、パンデミック前後の高齢者の「生活の変化」、それに伴う「心理状態」を明らかにすることを目的とした。【方法】A 市の市街地に暮らす高齢者に対し、「パンデミック前の生活」、「パンデミック後の生活の変化」、「パンデミック中の心理状態」のインタビュー、不安・ストレス・怒り・意欲・活力の項目での5 段階のリッカートスケールの調査を実施した。対面での調査であるため、人数制限を行った。結果の前後比較は、ウィルコクソンの符号付順位検定を用いた。対象者には書面で、研究目的、方法、自由参加を説明し同意を得た。【結果】対象者は、男性3 名(78.00 ± 8.83 歳)、女性12 名(80.67± 4.75 歳)であった。心理状態の前後比較では、パンデミック後の数値が低下したが有意ではなかった。spearman の順位相関係数を用いて相関分析を行った結果、「不安」はストレス・怒り・意欲・活力と相関があることが明らかとなった。インタビューの結果は、パンデミック前の心理は「社会参加活動への参加による充足感」「地域の人々や家族との交流による愉楽」の2 つのカテゴリーに分類され、パンデミック後は「家族・友人との交流減少による寂寥」「他者との交流の困難さ」「外出頻度の低下に伴う意欲低下と積鬱」「新しい生活様式への適応と自由な日常への憧憬」の4 つのカテゴリーに分類された。【考察】COVID-19 パンデミック後の、「高齢者の生活」では、外出自粛、面会制限等の影響による対人交流の減少が顕著であり、これに伴う寂寥や積鬱を抱いていた。リッカートスケールでは、 特に「不安」と「ストレス」の相関が強く、外出自粛によるストレスが不安を増幅させていると考えられた。しかし一方で、「コロナ禍においてもできること」を模索し、新しい生活様式へ適応しはじめている高齢者がいることが明らかになった。パンデミック中には、外出や対人交流の減少が不可避であることを要因として、不安や意欲低下などのうつ病のリスクが上昇するため、感染を予防しながら、定期的に対人交流や運動を行える方法を周知していくことが必要である。