第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター4 群 看護職の心の働きとその対処①

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 ポスター会場 (イベントホール)

座長:普照 早苗

[ポスターO-4-1] 病院看護師のLGBT 当事者に対する態度と当事者配慮の取り組みとの関連

林 久美子, 青木 郁子, 柴 裕子 (中部学院大学看護リハビリテーション学部看護学科)

キーワード:GBT、性的マイノリティ、病院、看護師

【目的】病院看護師のLGBT(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender)当事者(以下:当事者)に対する態度と当事者配慮の取り組みとの関連を明らかにすることを目的とする。本研究成果は多様なジェンダーに対応できる看護実践能力育成のための基礎資料となる。【方法】国公立病院に勤務する看護師に対し無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は,当事者配慮の取り組み(診療録、呼称、病室環境、職員教育)の有無、小渡らのLGB に対する“ 肯定的態度”“ 知識”“ 否定的態度” からなる『日本語版LGB-KASH(以下:LGB-KASH)』、西百らの『トランスジェンダーに対する理解的態度(以下:T に対する理解的態度)』。分析は各項目の基本統計量を算出し、各尺度点と当事者配慮の取り組み(診療録、呼称、病室環境、職員教育)の有無でMann-Whitney のU 検定を行った。倫理的配慮:尺度は使用許諾を得た。個人情報保護や自由意思に基づく研究協力について説明し同意を得た。所属機関の倫理審査委員会の承認を受けた(C21-0038)。【結果】469 施設中、同意の得られた17 施設に質問紙を配布した。回収51 部、有効回答46 部(90.2%)であった。当事者配慮は、診療録:5 名(10.9%)、呼称方法:10 名(21.7%)、病室環境:11 名(23.9%)、職員教育:8 名(17.4%)で配慮の取り組みを行っていた。尺度点の平均(SD)は、『LGBKASH』“ 肯定的態度”32.3(± 5.5)、“ 知識”6.7(± 2.9)、“ 否定的態度”8.3(± 2.7)、『T に対する理解的態度』41.0(± 4.6)であった。『LGB-KASH』“ 知識” の尺度点は、“ 職員教育有り”は平均8.4(± 3.0)、中央値10.0(6.0-10.8)であり、“ 職員教育無し” は平均6.3(± 2.7)、中央値5.5(4.0-8.0)であった。比較の結果p=.53 であった。その他、『LGB-KASH』“ 肯定的態度”“ 知識”“ 否定的態度” および『T に対する理解的態度』と当事者配慮の取り組み(診療録、呼称、病室環境、職員教育)実践の有無でも有意差はなかった。【考察】当事者に対する態度と当事者配慮の取り組みで有意差はなかった。しかし、“ 職員教育有り” の場合にはLGBT に関する知識点が高い傾向にあり職員教育の有用性が示唆された。