第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター6 群 看護の質向上のための取組み①

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:長谷川 美智子

[ポスターO-6-2] 申し送り方法をI-PASS に標準化することの導入効果

―コミュニケーションエラーの軽減を目指して―

祷 真人 (友愛医療センター)

Keywords:I-PASS、 申し送り、コミュニケーションエラー、医療安全

【目的】I-PASS は米国で開発された引き継ぎ方法である。A病院B 病棟における申し送りの方法をI-PASS に標準化することの導入効果を明らかにする。【方法】I-PASS 導入前(導入前)と導入5 か月後(導入後)に、当該病棟で勤務する看護師を対象に申し送りに関するアンケートを実施した。質問内容は申し送り時における1) コミュニケーションエラーの経験、2) ストレスを感じる経験、3) 送る側の情報がまとまらない経験、4) 受け手にとって伝わらない経験の4 項目である。回答はa) 常にある、b) よくある、c) 時々ある、d) 滅多にない、e) ほとんどないの5択で求めた。I-PASS 導入前後のアンケート結果から、回答a) ~ c) を「ある」、d) ~ e) を「ない」として記述統計および、fisher の正確確立検定を用いて比較を行った。統計解析はR(32-bit)を使用し、統計学的有意差はp<0.05 とした。倫理的配慮として施設名は匿名で記し、アンケートの回答は自由意志とした。研究実施施設の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】対象者数は導入前26 名、導入後28 名でそれぞれ100%の回答率を得た。質問1) の回答は導入前の「ある」が84.6%、「ない」が15.4%、導入後の「ある」が35.7%、「ない」が64.3%であった。P=0.00032 であり有意差をもって改善が認められた。質問2) は導入前「ある」73.1%、「ない」26.9%、導入後「ある」75%、「ない」25%、p=1 であり導入前後で差を認めなかった。質問3) は導入前「ある」84.6%、「ない」15.4%、導入後「ある」64.3%、「ない」35.7%、p=0.124 であり割合は改善したが統計学的に有意差を認めなかった。質問4) は導入前「ある」65.4%、「ない」34.6%、「ある」60.7%、「ない」39.3%、p=0.783 であり導入前後で差を認めなかった。【考察】限られた時間内に情報を伝達するためには、伝える「タイミング」「内容」「伝え方」「受け手の理解の確認方法」が課題とされている。I-PASS という標準化された申し送り方法を使用することで、コミュニケーションエラーが軽減したと感じる看護師の割合が増加した。今後はインシデント報告の調査などにより、実際にコミュニケーションエラーが軽減してるのか客観的評価を行う必要がある。