第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター6 群 看護の質向上のための取組み①

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:長谷川 美智子

[ポスターO-6-4] 訪問看護での多職種連携における医療用SNS の効果

―A 市内の訪問看護ステーションでの現状調査―

山田 梨衣佳 (洛和会訪問看護ステーション壬生)

Keywords:多職種連携、医療用SNS、訪問看護、情報共有

【目的】在宅医療の充実には多職種連携が不可欠であり、情報共有のツールとして従来の電話、FAX に加えて最近では新たに医療用SNS が活用されている。本研究ではA 市内の訪問看護ステーションにおいて、医療用SNS が多職種連携にもたらす効果を明らかにすることを目的とし、今後の在宅医療連携の強化を検討する際の基礎資料とする。【方法】A市において、医療用SNS を活用している訪問看護ステーション9ヵ所に勤務する常勤の訪問看護師あるいは管理者9 名を対象に、医療用SNS を用いた多職種連携の現状について、半構成的面接法にてデータ収集を行い、Krippendorff の内容分析の手法を用いて分析した。本研究は、所属施設の倫理審査委員会の承認を得て行った。研究参加者へは本研究の趣旨について口頭と文書で説明し、同意書の署名をもって同意を得た。【結果】研究参加者の年齢は、40 代5 名、50 代2 名,60 代2 名(平均年齢49.8 歳)で、訪問看護経験年数は1 ~15 年であった。医療用SNS を用いた多職種連携の現状として、〈速やかでリアルな情報共有と意思決定〉、〈時間や場所にとらわれない情報交換〉、〈スムーズな運用のための環境整備の必要性〉、〈普及率の低さによる使いづらさ〉の4カテゴリーが抽出された。【考察】医療用SNS の活用により、各職種の視点からの情報が容易に集約され、ケアや方針についても共通認識を持ちやすくなること、時間や場所にとらわれず、速やかでリアルな情報共有が可能となり、物理的、心理的に負担が軽減し、情報共有が促進されることが明らかになった。昨今の感染症対策が重要となっている状況において、対面で話し合う機会が少なくなっているなか、医療用SNS でこまめにコミュニケーションがとれることは効率的といえる。一方、普及率の低さによる使いづらさやスムーズな運用のための環境整備の必要性が明らかとなり、デバイスの準備やマニュアルの作成等の環境整備を行い、各々の働きかけにより普及を促進させることが必要であることが示唆された。また、文字だけでのやりとりが増え、以前より顔が見えづらくなる可能性があるが、従来のコミュニケーション方法での良さを引き継ぎながら時代に沿った情報ツールを取り入れ、在宅医療チームとしての結束の強化を図る必要がある。