第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター8 群 看護の質向上のための取組み③

2023年9月30日(土) 09:00 〜 10:00 ポスター会場 (イベントホール)

座長:山中 晶子

[ポスターO-8-1] 整形外科病棟に入院する高齢患者のせん妄発症を予測している看護師の視点

池田 萌香, 木暮 直子, 安川 礼奈 (前橋赤十字病院)

キーワード:整形外科、高齢患者、せん妄、予測、看護師の視点

【目的】A 病院整形外科病棟には高齢患者が多く、1 年間で報告されているインシデントのうちせん妄によるルート類の自己抜去は約4 割を占めている。せん妄の判断に関する先行研究では、85.2%の看護師が異常をキャッチする直感を持っていると報告されているが、予測する感覚的な根拠を質的に明らかとした先行研究は現在報告されていない。そこで、整形外科病棟に入院する高齢患者のせん妄発症を予測している看護師の視点を明らかにし、看護師全員が共通した観察の視点を持ち、せん妄の早期発見と対応ができるようになるための今後の課題を考察する。【方法】A 病院整形外科病棟に勤務し、入院患者のせん妄発症を予測した経験のある臨床経験1年以上の看護師を対象に半構造化面接を行った。Berelson, B. の方法論を参考にした看護教育学における内容分析で行った。【結果】整形外科病棟に入院する高齢患者のせん妄発症を予測している看護師の視点は、《理解力の低下がある》《落ち着きがない》《目つきが怪しい》《視線が合わない》《難聴である》《辻褄の合わない発言がある》など51 カテゴリが抽出された。【考察】入院時の前情報や患者との言語的コミュニケーションを通して認知機能の程度を把握することや、患者との非言語的コミュニケーションから患者の心理状態をよく観察し、傾聴しながら関わることで、せん妄発症を予測することが可能であることが示唆された。看護師全員が共通した観察の視点を持つ為には、看護師間の勉強会で本研究の結果を提示して、観察の視点を周知することで、看護師がせん妄の直接因子の要素を意識できるようになるのではないかと考えた。せん妄状態を早期のうちに発見して、原因として考えられる要因を除去するために傾聴や環境づくり、疼痛・睡眠コントロールなどをすることがせん妄に対する看護として重要と言える。看護師だけでなく、精神科リエゾンの介入によりせん妄発症の予防や対処が早期にできるようになったことから、各職種が得た情報を共有し多角的な視点で検討、修正することで、看護師だけではなすことができない支援が提供できると考えられるため、多職種との連携も重要であると示唆した。