第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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2022年度日本看護協会調査研究報告

2022 年度日本看護協会調査研究報告

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第3会場 (1003)

座長:市村 尚子

登壇者:南平 直宏・岩澤 由子・宮脇 英恵

[RR1-2] 急性期一般入院料1算定病院における看護の役割と配置について

~急性期看護実態調査結果より~

岩澤 由子 (日本看護協会医療政策部部長)

【背景】
 人口や疾病構造が変化する中で、保健・医療ニーズを見極め、地域の人々の健康や生活を支える看護提供体制の強化が求められている。そのためには急性期から回復期・慢性期入院医療、そして外来や在宅医療までの各機能における看護の役割や看護職員配置等の実態と課題を整理し、今後のあり方を検討していくことが必要である。
【目的】
 急性期一般入院料1 における看護業務に関する実態(各病棟の状況、患者の重症度、看護業務量、看護職員配置など)を明らかにし、政策提言に活用する。
【方法】
 2022 年6 月27 日~ 9 月6 日の期間、急性期一般入院料1 算定病院のうち、DPC 特定病院群ないしは標準病院群であり、特定集中治療室入院管理料・ハイケアユニット入院管理料・救命救急入院管理料のいずれかを算定する病院823 施設を対象に、Excel 調査票による調査を実施した。調査票は病院票と病棟票の2 種類で、日本看護協会研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
 有効回答数は病院票で360 施設(有効回収率43.7%)、病棟票で2,367 病棟。患者像として、重症度、医療・看護必要度該当患者割合(中央値)は34.7%、同割合が40%以上の病棟が31.6%であった。75 歳以上患者割合(中央値)は45.0%で、要介護・要支援等患者割合(中央値)は19.8%、日常生活自立度ランクⅢ以上の患者割合(中央値)は5.3%、同割合が10%を超える病棟が23.2%であった。夜間での入院・転出入割合(中央値)は10.5%で、夜間において看護計画を見直した患者数や医師による追加指示の回数が多い実態が明らかとなった。また、転倒・転落リスクのある患者割合(中央値)が80.4%に至る中で、1 か月間のレベル2 以上の転倒・転落発生率は平均1.6‰、0‰が29.7%と最も多かった。夜間のレベル2 以上の転倒・転落発生率は平均1.1‰で、0‰が34.7%と最も多かった。夜間の看護職員配置の中央値は9.9 対1 であり、診療報酬上では看護職員夜間看護配置加算12 対1 がもっとも手厚い中で、それを上回る10 対1 配置が広く行われている実態が明らかとなった。
【考察】
 急性期入院医療の役割は重症患者を受け入れ、短期間で集中的な治療を行い、早期に回復へ導くことであり、看護職員は患者の状態に合わせた看護ケアを適時提供し、合併症などを起こすことなく早期に退院できるよう支援していた。これらの実態を踏まえ、さらなる患者の高齢化や医療の複雑化を見据えた効果的・効率的な看護提供体制のあり方を検討していく。