交流集会1 看護職のバーンアウトや離職を防ぐメンタルヘルスケア
～個人への効果的なセルフケアサポートと組織によるラインケアを考える～

[KR1-2] 看護職のバーンアウトや離職を防ぐメンタルヘルスケア

高橋 晶 (筑波大学医学医療系災害・地域精神医学准教授／茨城県立こころの医療センター／筑波メディカルセンター病院精神科)

　新型コロナウイルス感染症が長期化し、感染症災害ともいえる状態で、日本のみならず世界中で蔓延し、人々は明らかに疲弊している。
　その中で医療従事者、特に看護師のストレス増大と離職が問題になっている。初期には感染恐怖、差別、誹謗中傷があり、中長期のフェーズでは慢性的なストレスが遷延し、様々な要因が複合して看護師を苦しめている。病院、保健所ほか、看護師が関わる職場での産業メンタルヘルスの視点も重要である。感染リスクのある患者に近い場面で、対応をする看護師の負担は大きい。また管理者においても、同様に精神的な負担が高い事もいわれている。燃え尽き、感情労働、モラルの傷つき、共感疲労など様々な精神的苦痛に関連するワードも目にすることが多くなった。看護師が自分自身やスタッフを思いやるセルフコンパッションという考え方も注目されている。病院で中心的に患者の対応をする看護師のメンタルヘルスが維持、安定する事は、病院管理においても重要な事案である。
　今回は看護職のバーンアウトや離職を防ぐメンタルヘルスケアと題して、セルフケアとラインケアの視点から皆さんと考えてみたい。