[ポスターS-1-2] 帝王切開術を受ける妊産婦へのパンフレットを用いた術前訪問の精神的効果
-手術室看護師の立場から-
Keywords:周手術期看護、術前訪問、帝王切開術、妊産婦
【目的】A病院手術室では麻酔別のパンフレットを用いて術前訪問を行っている。しかし術後訪問の際、帝王切開術後の妊産婦より脱衣や麻酔に関して戸惑ったという感想があった。帝王切開術は脊椎くも膜下麻酔のため意識下で行われ、手術であると同時に「分娩」であるという事から、帝王切開術特有の情報をパンフレットに追加する必要があると考えた。そこで、帝王切開術専用のパンフレットを新たに作成し、術前訪問時に活用することで、術前の不安や恐怖心、緊張が軽減されたかを明らかにしたいと考えた。【方法】調査期間:令和2年10月~令和3年3月。対象:A 病院で帝王切開術を受け研究協力に同意を得た妊産婦22名。方法:パンフレットを用いて術前訪問を行い、術後にアンケートにて訪問前と訪問後の手術に対する不安、恐怖心、緊張を振り返り回答するよう依頼した。項目毎に単純集計を行い、さらにχ2検定(p<0.05有意差あり)を用いて初回と既往の帝王切開術を受ける妊産婦で3項目を比較した。本研究はA病院看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】パンフレットには、脱衣のタイミングや麻酔体位、出産直後の母児の状況を写真やイラストで記載した。訪問前の手術に対する不安、恐怖心、緊張は8割が「とてもあった」「少しあった」と回答した。訪問後、不安と恐怖心は5割以上が「軽減した」と回答したが、緊張は6割が「変わらない」「少し強くなった」と回答した。χ2検定を使用し比較した3項目に有意差はみられなかった。【考察】帝王切開術専用のパンフレットにしたことで、より詳細に説明でき手術をイメージし易くなったのではないか。更に直接手術室看護師と対面することで疑問をその場で解決し看護師も不安なことを把握でき、術中の看護に活かせた。結果、術前の不安や恐怖の軽減に繋がった。緊張に関しては有効性が低かった理由は術前訪問により自分が手術を受けることに対して実感が湧き、緊張を高めたのではないか。産科病棟スタッフが手術室内での動きや術中の事を説明するには限界がある。日頃手術に携わっている手術室看護師だからこそ出来る専門性の高い情報提供を行うことが妊産婦の出産に対する不安や期待など複雑な心境をサポートできた。不安や期待等妊産婦は出産まで異なった背景を抱えており、帝王切開術に対する心理的プロセスは様々であることを理解し、関わっていくことが重要である。