第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

Presentation information

ポスター

ポスター2群:高齢者の健康維持増進への支援

Thu. Sep 1, 2022 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (206)

座長:伊波 早苗

[ポスターS-2-5] 家族の支援が受けられない独居高齢者に対する退院支援の質向上に向けた一検討

-退院支援に関わる他職種の認識について-

加藤 あや子1, 古田 祐世1, 西部 真由美1, 菅原 隆成2, 桑田 弘美3 (1.関中央病院, 2.朝日大学保健医療学部看護学科, 3.滋賀医科大学医学部看護学科)

Keywords:独居高齢者、退院支援、多職種連携

【目的】老老介護や独居生活など退院後多くの問題を抱えながら生活する高齢者が増加する中、円滑な退院支援を行う為にも他職種との連携が重要視される。本研究では、家族の支援が受けられず独居生活へ戻る患者の退院支援を振り返り、関わった看護師以外のスタッフが、退院支援の質の向上のためにどのようなことを必要と認識しているかを把握することを目的とした。【方法】研究デザインは事例研究で、対象者は要支援の独居高齢者1名の退院支援に関わったリハビリスタッフ2名、地域包括支援センターのスタッフ2名である。インタビューガイドを用いた面接を行い、内容について質的記述的分析を行った。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て行い、対象者に対して研究の説明し自由意思に基づく同意を得た。【結果】逐語録より94のコード、28のサブカテゴリーが抽出され、[ADLが向上し、生活動作の獲得ができる][脱臼予防の方法を指導][自宅に帰る為に必要なリハビリを本人へ説明][高齢者が安全に独居生活できるようサービスを利用][転倒リスクを除去し安全に生活するための自宅環境の調整][転倒予防が必要][疎遠である家族に期待しない生活指導][退院に向けて他者との情報共有をしていく][経済的不安がある中で独居生活する][早期退院を目指し退院支援を実施][地域包括支援センター、病院との情報共有が必要]の11のカテゴリーが抽出された。【考察】退院支援に関わる他職種スタッフは安全に独居生活を送るために自己、またはサービスを利用しながら身の周りのことができるよう、患者と退院に向けた目標設定をし、リハビリや日常生活指導の早期実施が退院支援の質向上のために必要であると認識していた。又、住宅環境の中で転倒リスクを除去し、手すり・踏み台を設置することは転倒予防につながり、入院中における自宅環境の改善、福祉用具の手配は必要な支援のひとつであることも認識していた。看護師以外のスタッフにおいても患者のADL、リハビリ状況を把握し早期からの退院に向けた支援、環境調整、多職種との情報共有が重要視されており、それらが、退院支援の質の向上につながると認識していた。患者を取り巻くすべての職種がこの認識を共有することで、より良い退院支援の検討ができているのではないかと考えられる。