[ポスターS-2-4] 面会制限下における高齢入院患者家族の心理の把握
Keywords:面会制限、高齢入院患者、家族の思い、家族の不安、家族支援
【目的】面会制限が高齢入院患者の家族に与える心理面での影響を明らかにし、高齢入院患者家族の看護支援を検討する。【方法】2021年11~12月、A病院に10日以上を見込んで緊急入院した75歳以上の患者の60家族を対象に、面会制限下における家族の様々な思い、連絡に関する希望を問う23設問のアンケート調査を、入院後1週間前後の時点で実施し、単純集計を行った。対象には、研究趣旨、協力の任意性、協力の是非及び回答内容による不利益非発生の保証、守秘・匿名性の担保を記した協力依頼文書を同封し同意下でのみ回答返送を依頼した。所属施設倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】60家族へ調査を依頼し31部回収した(回収率51.6%)。回答者の属性は患者の子供71.0%、配偶者22.5%であった。患者のうち認知症診断のある者は30.0%であった。入院中に携帯等の端末を利用する者は35.5%であった。面会制限下の家族の気がかり(複数回答、多い順)は、『患者がどのような気持ちで過ごしているか』96.8%、『患者の様子を知りたい』87.1%、『患者が自身の状態や気持ちを医療者に十分に伝えられているか』61.3%であった。家族が心配する入院による影響(複数回答、多い順)は『認知機能低下』27.8%、『筋力低下』27.8%、『普段出来ていたことが出来なくならないか』25.5%、『入院中に不自由はないか』18.9%、であった。看護師から家族への情報伝達は、3~4日に1回を希望が52.0%と最多で、方法は電話71.0%、荷物の受け渡し時58.1%が多かった。【考察】高齢患者の家族は患者の状況を確認することで安心を得ることがわかっている。しかし、面会制限下の高齢入院患者の家族は、患者を見舞う機会が制限されるため、入院中の患者の気持ちや過ごし方を心配する割合が非常に高いことがわかった。高齢入院患者の中には携帯等の端末使用が出来ない者も多く、看護師から家族への週に2回程度の電話連絡を希望する家族が多いこともわかった。今後は現在行っている荷物の受け渡し時の情報提供に加え、入院中の患者の様子を具体的にイメージできるような情報の提供を電話等で行うようにしたい。特に退院を見据え、多くの家族が気にかける認知機能やADL関連の情報提供と情報共有を行い、患者家族の不安内容を傾聴し、スムーズな退院に役立つ家族支援を試みたい。