第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

Presentation information

ポスター

ポスター3群:在宅療養移行支援

Thu. Sep 1, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (206)

座長:矢口 亜希子

[ポスターS-3-2] 外来看護師の在宅療養支援への意識と看護実践能力を高めるための学習および自宅訪問を通した取り組みの効果

太田 由美, 藤本 由香里, 安田 直子 (山口県済生会下関総合病院)

Keywords:在宅療養支援、外来看護師、自宅訪問

【目的】在宅療養支援に関する学習と支援が必要な外来患者の自宅訪問(以下,訪問とする)により,外来看護師の在宅療養支援への意識と看護実践能力の変化を明らかにする。【方法】介入前、クリニカルラダーⅢを取得した外来看護師6名を対象とし,在宅支援の看護の概念6視点(生活視点の看護,生活の自立支援,予測と予防,家族関係の理解と調整,チームケア,ケアマネージメント)で独自に作成した29項目から成る質問紙を用いて在宅療養支援に関する意識と実践状況を調査した。又,在宅療養支援で困ったことを自由記載してもらった。評価は,4段階評定尺度(1=全くしていない~4=常にしている)とした。介入として計5回の退院支援研修会に参加,自由記載の結果をふまえて事例検討会を実施し,訪問看護師がオブザーバーのロールプレイング後に意見交換を行った。独自の在宅療養支援スクリーニング票で訪問患者を抽出し,看護計画立案後,患者の同意を得て訪問した。訪問後,ケアマネジャーや調剤薬局薬剤師を含む他職種とのカンファレンスを実施した。訪問1か月後,2回目の質問紙調査を行い,訪問で感じたことを自由記載してもらった。分析方法は介入前後の質問紙調査結果をウィルコクソンの符号順位和検定,介入後の自由記載内容をカテゴリー分類した。研究に際して,A病院倫理委員会の承認を得た。【結果】介入前の自由記載では「患者の生活を意識した介入ができていない」等の意見があった。介入前後の質問紙調査の比較では,「在宅生活のイメージを共有して関わっていますか」「在宅療養に向けた支援を日々の関わりの中で意識して行うことの大切さを感じていますか」等11項目が介入後,有意に上昇した(p<0.05)。介入後の自由記載より25コード,6サブカテゴリー,[生活の視点を持つ][支援の幅の広がり]の2カテゴリーが抽出された。【考察】学習に加えて訪問で患者の生活の場を目の当たりにし,療養環境や生活状況をより深く把握できたことで,生活の視点を持つことの重要性を再認識し,受診時に生活状況や家族関係,自己管理状況を聞く等の実践につながった。また,カンファレンスで院内外の他職種と協働したことで支援の幅の拡がりを実感し,在宅療養支援への意識・行動変容の一因になったと考える。事例検討や自宅訪問の機会を増やし,在宅療養支援への意識と実践能力を更に高めていくことが,今後の課題である。