第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

Presentation information

ポスター

ポスター3群:在宅療養移行支援

Thu. Sep 1, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (206)

座長:矢口 亜希子

[ポスターS-3-4] 訪問看護事業所と介護保険施設の管理者が暴力・ハラスメント対応で最も困っていること

-自由記述の分析を通して-

松嶋 由美, 仲村 亜依子, 宇野 祐輔, 手嶌 大喜, 三木 明子 (福岡県看護協会社会経済福祉委員会)

Keywords:暴力・ハラスメント、管理者、対応困難、訪問看護事業所、介護保険施設

【目的】利用者・家族から受けた訪問看護師の身体的暴力経験率45.1%、精神的暴力52.7%、セクシュアルハラスメント48.4%との報告(全国訪問看護事業協会、2018)や施設介護職員の身体的・精神的暴力経験率77.9%、性的嫌がらせ44.2%との報告がある(篠崎、2017)。しかし、対応する管理者が何に困っているかについて報告が少ない。そこで、訪問看護事業所と介護保険施設の管理者が暴力・ハラスメント対応で最も困っていることを明らかにすることを目的とした。【方法】2021年3月、福岡県内661訪問看護事業所、224介護保険施設の管理者885名に、無記名自記式質問紙調査を実施した。各施設に郵送法で質問紙を配布後、2週間で回収した。管理者が利用者・家族からの暴力・ハラスメントで、最も対応が難しかった事例を自由記述で回答を求めた。管理者が困っている内容の記述部分を抜き出し、意味内容の類似性にそって分類しカテゴリーを抽出した。研究対象に目的、自由意思での研究参加、不参加でも不利益がないこと等を文書にて説明し、研究参加の同意欄にチェックがある質問紙を分析した。なお、福岡県看護協会社会経済福祉委員長所属施設の倫理委員会で承認を受けた。【結果】362施設から質問紙を回収し、自由記述回答66件を分析した。記載不十分、他職種等のハラスメント記載22件を除外した。管理者が最も困っていることは事業形態による内容の違いはなかった。<繰り返される暴力・ハラスメント行為><疾患・症状による暴力・ハラスメント行為><悪質クレームによる業務支障><特定の個人への攻撃><対応方針の伝え方の難しさ><職員の暴力・ハラスメントの認識不足><暴力・ハラスメント事象の捉え方の相違><家族間の暴力の問題>の8カテゴリーを抽出した。【考察】管理者が困っていることは、利用者・家族の過剰なケア要求、緊急電話へ頻回連絡、夜間3時間の叱責等の長時間対応で業務に支障があることであった。暴力・ハラスメントが繰り返され、その原因が疾患による理解力低下である場合、利用者・家族へ方針の伝え方等、管理者自身が決断に苦悩する実情が明らかとなった。そのため、被害職員だけでなく管理者への支援も重要と考える。一方、介助時に疼痛があり大声を出すことをハラスメントと捉える職員の認識や捉え方の相違について、職員教育が課題であることが分かった。