[ポスターS-5-1] 熱傷患者の看護援助に関する看護師の困難
-形成外科病棟に6年以上勤務した看護師のフォーカスグループインタビューを通して-
Keywords:熱傷看護、困難、看護援助、看護師、形成外科
【目的】熱傷は急性期を脱した後もボディイメージの変容や瘢痕した皮膚のリハビリテーションなど多方面にわたって看護援助が必要とされ、経験を積んだ看護師も困難感を抱くことが推察される。本研究では、形成外科病棟に6年以上勤務した看護師を対象に熱傷患者の看護援助に関する困難について明らかにすることを目的とする。【方法】研究デザインは質的記述的研究デザイン。2020年12月、A大学病院形成外科病棟に6年以上勤務し熱傷患者の看護援助経験を有する看護師に対しフォーカスグループインタビュー(以下、FGI)を行った。FGIは熱傷患者の看護援助に関する看護師の困難で構成した。データ分析は、熱傷患者の看護援助に関する看護師の困難を抽出し意味内容ごとに要約した後、類似性と共通性に基づきサブカテゴリー、カテゴリーとした。倫理的配慮として、札幌医科大学附属病院看護部看護研究倫理審査委員会で承認を得た。対象者に研究参加の自由意思、研究協力諾否の自由、匿名性と守秘義務の遵守、FGIにおけるプライバシーの保護等を説明し同意を得た。【結果】対象者は5名(女性、形成外科病棟での平均勤務年数は8.0±2.4年)であった。熱傷患者の看護援助に関する看護師の困難は64コード、18サブカテゴリー、6カテゴリーが生成された。カテゴリーは〈鎮静薬使用下での熱傷処置管理と疼痛や熱傷創の状態に合わせた鎮痛薬調整および評価の難しさ〉〈熱傷創の処置および日常生活行動に関する自己健康管理の促しの難しさ〉〈受傷から熱傷創治癒までの過程における疾病受容を支援する関わりの難しさ〉〈様々な受傷機転を持つ熱傷患者・家族への病期に応じたメンタルケアの難しさ〉〈複雑な受傷機転による家族関係把握の難しさ〉〈退院後の自己処置のための必要物品調達の大変さ〉であった。【考察】形成外科病棟に6年以上勤務した看護師は患者の退院を見据えた熱傷創の処置を中心とする自己健康管理およびに精神的ケアに困難を抱えていることが明らかとなった。看護師は回復過程に応じて鎮静鎮痛薬の調整やセルフケアの拡大を試みていたが、自傷や他害等の受傷機転をもつ患者も多く、評価と精神面への配慮に難渋していた。看護経験により長期的な視点で必要となる看護援助を捉えていたが、個別性の高さから困難を抱えており、解決に向けた患者とのケア評価やリソースナースとの協働等が必要と示唆された。