第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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ポスター

ポスター5群:看護職の業務に対する困難感

Thu. Sep 1, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (206)

座長:松本 康代

[ポスターS-5-4] 救急外来リーダー業務に対する看護師の困難感について

-リーダー育成にむけたアンケート調査-

植田 恵子, 玉置 如美, 中島 敬太郎, 中嶋 俊子, 綾野 明子 (大和高田市立病院)

Keywords:救急外来看護師、困難感、リーダー育成

【目的】A病院は年間約2000件の救急車を受け入れており、日勤帯は各診療科で対応し夜間・休日のみ救急外来で診療を行っている。救急外来では普段とは異なる仕事の中、幅広い知識と迅速な対応が求められ、なかでもリーダー看護師は自らの経験をもとに救急外来全体を把握し、患者のニーズに合った支援や、診療が円滑にかつ安全に行なえるよう看護を実践する役割を担っている。しかし救急外来勤務の看護師からは「リーダーをやりたくない」といった声が聞かれ、リーダー育成を困難とする一因となっている。そこで、リーダー育成にむけた教育的ニーズを把握するため、救急外来リーダー業務に対する困難感を明らかにすることを目的とし本研究を行った。【方法】救急外来で従事する外来看護師29名を対象に、リーダー業務に関する15場面での困難感とその理由を自記式質問紙にて調査し、得られたデータを単純集計とフィッシャーの直接確率計算法で比較検討し、自由記述の分析を行った。本研究の実施にあたり、所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】救急外来勤務に対し非リーダーよりリーダーの役割時の方が困難感があるとの回答が増加した。リーダー業務の15場面の困難感では、外来勤務年数や看護師経験年数での有意差は認めず、困難感で上位の場面は、「緊急性の高い患者が重なったとき」「緊急性の高い患者の対応」であった。その記述内容の分析から「トリアージに対する困難感」「状況に応じた業務調整のへの困難感」「人的資源の活用・調整に対する困難感」「事務的業務に対する困難感」の4つの困難感が得らた。また勤務時の相手がリーダー経験者である場合は「安心」「ストレスの軽減する」との記述があり、リーダー未経験者では「不安」「負担が大きい」との記述があった。【考察】勤務や経験年数に関わらず救急外来リーダー業務に困難感があることが明らかとなった。勤務相手がリーダー経験者である場合は肯定的な意見がみられることから、困難感の軽減には、リーダーだけではなく全てのスタッフが役割を持ち、各々がリーダーシップを発揮することが必要であると考える。また記述内容から得た4つの困難感から、看護実践能力とマネジメント力に対する働きかけの必要性があり、これらが最もリーダー教育に必要な教育的ニーズであることが示唆された。今後、本研究を元に教育プログラムを構築していくことが急務であると考える。