[ポスターS-5-3] 急性期患者と終末期がん患者が混在する病棟で働く看護師の困難感の現状
Keywords:急性期患者、終末期がん患者、看護師の困難感
【目的】A病院の急性期患者と終末期がん患者が混在する病棟で働く看護師の困難感を明らかにすること。【方法】期間:令和2年9月~12月。対象:A病院の病棟看護師142名。看護師長、研究担当者は除外した。調査方法:個別質問紙にて、看護師経験年数、看護師の困難感を尋ねた。困難感は小野寺らが作成した「看護師のがん看護に対する困難感尺度(6下位尺度、49項目)(6:非常にそう思う~1:全くそう思わない)」を使用し、回答を求めた。自由記載は「急性期患者と終末期がん患者が混在する病棟で働いて思うこと」を尋ねた。分析方法:項目毎に単純集計し最大値、最小値、中央値を求め、中央値4以上を高値、3以下を低値とした。経験年数(9年以下10年以上)で群別して困難感を比較した。自由記載は意味内容に基づき分類した。A病院の看護研究倫理審査委員会の承認を得た。【結果】回収数は107人(回収率75.3%)、有効回答率99.0%。「1コミュニケーション」「2自らの知識・技術」「4告知・病状説明」「5システム・地域連携」の4下位尺度の全項目で中央値が高値であった。経験年数9年以下の群では下位尺度「4告知・病状説明」の2項目と「6看取り」の2項目で中央値が低値となった。自由記載では「終末期患者へのケアに十分な時間をかけられない」「面会制限で家族不在の看取りがある」等の回答があり、「療養環境」「看護体制・困難感」「医師の対応」「患者・家族との関わり」の4つのカテゴリに分類された。【考察】終末期がん患者に関して自らの知識・技術を身につけ積極的で十分な関わりを持つことは患者・家族の不安軽減につながり穏やかな時間を過ごすことにつながる。COVID-19の影響で面会制限となり、家族が患者の病状や状態の把握ができないこと、コミュニケーション不足、急変や看取り時に十分に付き添えない現状に、看護師は困難感を感じていた。意思決定がはっきりとした患者や家族の場合は早めに退院支援を進め、在宅支援体制への構築を地域全体で取り組んでいく必要があると考える。急性期と終末期がん患者が混在する病棟で働く看護師は多くの臨床業務を抱え、終末期がん患者に寄り添う時間が限られ、日々葛藤しながら勤務しており、今後解決策を講じていく必要がある。