[ポスターS-6-1] 看護学生の患者との心理的距離とコミュニケーションスキル
Keywords:看護学生、心理的距離、巻き込まれ、コミュニケーションスキル、精神科患者
【目的】本研究は臨床実習経験のある看護学生を対象に、患者との心理的距離とコミュニケーションスキルの関係性を明らかにし、看護学生が患者とよりよい援助関係を築けるための一助とする。【方法】看護専門学生103名を対象に無記名自記式質問調査を行った。調査内容は年代、性を尋ね、心理的距離はマイナスの距離とプラスの距離を尋ねた。マイナスの心理的距離は患者に対して自分の気持ち、感情はださない、自分のことを話さない、患者に深入りしない、患者との距離を保つようにする、深まらないようにするの問いに思う(4点)から思わない(1点)の4段階で回答を求めた。プラスの心理的距離は、患者の人生に関わりたい、もっとケアしたい、アドバイスしたい、一緒に一喜一憂したい、患者のことが気になる、気持ちが離れない、病状悪化を自分の責任と感じる、の問いに4段階で回答を求めた。コミュニケーションスキルは自己統制、表現力、解読力、自己主張、他者受容、関係調整の6因子で、できる(4点)からできない(1点)の4段階評価のENDCOREsを用いた。調査票の配布は、看護専門学校学校長から口頭で研究協力の承認を得た後、学生数の調査票を送付した。配布と回収は看護学校へ一任した。倫理的配慮は尺度の使用には開発者よりメールで承認を得た。調査回答は自由意志とし個人が特定されないこと、回収をもって同意とすることを調査票に明記し、A病院倫理委員会にて承認を得た後調査を開始した。【結果】103名の看護専門学生に配布し93名(90.3%)の回収となった。年代は20歳と30歳代が64名(68.8%)となった。患者とのマイナスの心理的距離の平均値では、「患者に深入りしない」が一番高く3.2点。プラスの心理的距離の平均値では、「病状悪化を自分の責任と感じる」が一番高く2.8点であった。ENDCOREsの下位尺度の平均値は、自己統制2.9点、表現力2.4点、解読力2.9点、自己主張2.4点、他者受容3.1点、関係調整2.9点であった。【考察】看護学生のコミュニケーションスキルの自己評価は高い傾向にあり、またプラスの心理的距離よりマイナスの心理的距離の平均値の方が高いことから、コミュニケーションスキルはマイナスの心理的距離と関連があると考えられる。これは看護学生が患者とのコミュニケーションの中で自己統制し受容的で共感的態度で援助できていたと考える。