[ポスターS-6-5] 手術室看護師長が行うスタッフ看護師への教育的支援
Keywords:手術室看護師長、手術室看護師、教育的支援
【目的】手術室看護師長が、手術看護の質向上を目指し、人材育成という観点からスタッフ看護師にどのような教育的支援を行っているのか、その実際を明らかにし、教育的支援の特徴を考察することである。【方法】1.データ収集方法:手術室看護師長経験3年以上の手術室看護師長を対象とし、ネットワークサンプリングにより探索した。データ収集には、半構造化面接法を用い、対面による面接、またはビデオ通話を利用した面接によりデータを収集した。2.データ収集期間:2021年6月から8月であった。3.分析方法:面接データを「手術室看護師長はスタッフ看護師が発達するためにどのような教育的支援をおこなっているのか」というテーマに照らしてコード化した。また、得られたコードを類似性に基づき分離、統合し、カテゴリ化した。4.信用性の確保:質的帰納的データ分析に精通した共同研究者と共に検討を繰り返した。5.倫理的配慮:A大学研究倫理審査委員会の承認後、対象者への説明と同意、守秘義務を遵守し不利益を回避して実施した。【結果】4名の対象者から得られたデータを分析した結果、手術室看護師長の教育的支援を表す158コードから、42サブカテゴリ、10カテゴリが明らかになった。手術室看護師長のスタッフ看護師への教育的支援を表す10カテゴリは、《説明・助言・演示によって、手術看護に有益な知識技術を提供する》《必要な予算を確保して年間の学習会を企画すると共に多様な学習機会を提案する》《看護の質向上を目指し、スタッフ看護師個々の発達につながる教育計画を立案し実施する》《スタッフ看護師個々の看護実践・目的達成度を評価し適材適所に配置する》《スタッフ看護師育成の長期計画を立案すると共に評価指標導入を計画する》などであった。【考察】手術室看護師長の教育的支援の特徴として、以下を示唆した。すなわち、手術室看護師長は、患者教育やスタッフ教育に必要な教授技術を駆使しており、理論的知識の内在化を進める可能性のある実践知を伝達していた。また、スタッフ看護師個々の能力を適正に評価し、承認し、褒めるという教育的支援を行っていた。さらに、手術看護の技術修得は単純な学習では困難であり、個人に合わせた長期的な教育計画を立案し、多様な学習機会を提供していた。加えて、チームを編成して新人指導を推進し、人材確保の役割を果たしていた。