[ポスターS-6-4] 急性期病院におけるeラーニングを用いて認知症患者へのアセスメントとケアを学んだ看護師の認知症症状への対処困難感の変化
Keywords:eラーニング、認知症、看護師、対処困難感
【目的】急性期病院においてeラーニングを用いて認知症患者へのアセスメントとケアを学んだ看護師の認知症症状に対する対処困難感の変化を明らかとする。【方法】研究の趣旨とデータの厳重管理及び研究参加への自由意思、学会や論文投稿の可能性について説明し同意の得られたA病院B病棟に勤務する看護師25名に対し、認知症に関連した症状に対する看護師の対処困難感37項目を含むアンケート調査を行った。次に「学研ナーシングサポート」2021年度の認知症・高齢者コースのうち認知症患者に対するアセスメントとケアについて<看護編1>と<看護編1事例動画>の2講義を受講してもらい、受講月を含む3か月後に再び同様の質問項目を含めたアンケート調査を行いSPSSⓇ Statistics26を用いて分析した。【結果】普段からeラーニングを活用している者は62.6%と、4割近くの者が活用していない結果であった。認知症に関連した症状に対する看護師の対処困難感は「治療・看護援助を障害する行動に対する対処困難感」、「失禁に対する対処困難感」は5%水準で、「興奮・多動行動に対する対処困難感」は1%水準で受講後で有意に点数が減少していた。【考察】認知症患者は術後せん妄を発症するリスクが高く、せん妄症状が落ち着いても認知症症状が悪化し、抑制が解除できないなど対処に困るケースが多く見受けられる。受講により認知症患者への理解が深まった事で、これらの行動を認知症症状としての行動と捉えられるようになり「治療・看護援助を障害する行動に対する対処困難感」の点数の減少に影響したと考えられた。また、受講後認知症患者へのイメージや対応は半数以上の者でプラスへと変化していた。看護師の対応で認知症患者の反応も変わる事を知り、相手の立場に立った行動へ変化した事が結果的に認知症患者の行動変容に繋がり「興奮・多動行動に対する対処困難感」の点数が減少したと予測された。一方、業務の煩雑さに追われ認知症患者への対応が満足に行えず、頭では分かっていても安全のため抑制に頼るしかないといった現状も浮き彫りとなった。看護師だけでなくチームとして認知症患者の対応を行っていく必要があると考える。「失禁に対する対処困難感」は身体的にも負担が大きいケアとも言えるが、受講により認知症患者の理解が深まり相手の立場に立つ事でケアに対しての困難感が軽減したと考えられた。