[ポスターS-6-3] 動機づけを目的とした標準化された術後訪問への取り組み
-教育介入と共用ツールを用いて-
Keywords:術後訪問、教育介入、標準化、動機づけ
【目的】A病院手術室の術後訪問は術前訪問に比べクリニカルパスなどの標準化されたツールがなく、業務の優先順位などから実施件数が少ない。また看護師個々の知識や経験値などで実施されている現状がある。そのため本研究では、教育介入前後で手術室看護師の術後訪問に対する意識を調査し、作成した共用ツールの使用と、教育介入を行うことで術後訪問への動機づけと標準化に繋がるかを明らかにする。【方法】手術室経験2年目以上の看護師15名に調査票を用いて教育介入前後で術後訪問についての調査を実施した。教育介入前の調査データと参考文献を基に、術後訪問用紙と統一した電子カルテへの記録記載を行える共用ツールを作成した。術後訪問に関する教育介入の実施と、作成した共用ツールについて説明し術後訪問を実施した。調査票の分析は単純集計とクロス集計を用いた。本研究の遂行にあたってはA病院倫理委員会の承認を得た。(承認番号R3-18)【結果】教育介入前後で術後訪問の必要性について患者・看護師共に必要性を否定する回答はなかった。教育介入前で半数近くの看護師が術後訪問を実施したことがなく、術後訪問の実施に障害があると10名の回答があった。その理由として日常業務の繁忙さや術後訪問方法に関する内容の回答が多くあった。教育介入後の術後訪問の内容理解については13名が理解でき、必要性の再認識や知識の明確化ができた、という回答があった。術後訪問の標準化については、作成した共用ツールを用いることで標準化が図れるとの回答が多数であった。術後訪問による患者の状態把握では術前と異なった患者の表情や精神面に関する気づきや、やりがいなど看護師の意欲へ繋がる回答があった。【考察】看護師間で業務環境により術後訪問が困難な状況でも必要性への意識はあるということが示された。教育介入により術後訪問について看護師間で学習する機会となり、知識を共有する場になったと考える。共用ツールの使用で、術後訪問の標準化を現実化させる要因になったと考える。術後訪問実施後、看護の評価を行ったことで達成感や自己の振り返りに繋がったと考える。また、患者からの表情や言葉によって、継続看護に対する重要性への意識が高まり、患者の存在を意識づける機会となり、内発的動機づけに結び付いたと考える。