[ポスターS-7-5] パンフレットとDVDを併用した術前オリエンテーションの理解度の比較
Keywords:術前準備、術前オリエンテーション、パンフレット、DVD
【目的】予定手術患者に対し、手術決定時のオリエンテーションにパンフレットとDVDを併用することで手術に向けた準備についての理解度を比較する。【方法】A病院の倫理委員会の承認を得て、研究の同意の得られた全身麻酔を受ける18歳以上の予定手術患者を対象とした。パンフレットはA病院が独自で作成したものをもとに同じ内容のDVDを作成した。手術決定時に外来でパンフレットのみのオリエンテーションを受けた患者と、DVDを併用したオリエンテーションを受けた患者に術前オリエンテーションの理解度を含むアンケート調査を行い、SPSSⓇ statistics26を用い分析した。【結果】DVD併用前後とも70歳代の割合が一番多く占めていた。装飾品についての「手術時に金属類を外す理由を知っていますか?」と、男性に対し「手術までに髭を剃る理由を知っていますか?」の項目において、DVD併用後の方が5%水準で有意に理解度が高い結果であった。アンケートの自由記載内容からは、DVD併用後では口頭での説明やパンフレットを読むよりも映像化されているDVDを視聴した方が分かりやすかったという意見が見受けられた。【考察】パンフレットとDVDを併用することで手術に向けた準備についての理解度を比較した結果、DVDを併用した方が理解度は高かった。DVD視聴により自分に該当しない項目についても情報が入ってくることで記憶に残っていたと考えられ、パンフレットのみのオリエンテーションよりも術前準備についての理解度が高かったと考えられた。装飾品についての金属類を外す理由と男性が手術までに髭を剃る理由について有意に理解力が高かった。これらの項目での説明はそれぞれ「金属類がついていると火傷をする可能性がある」「髭を剃っていないと挿管チューブの固定のテープが剥がれる可能性がある」など手術中に患者自身に危険が及ぶ内容であり、パンフレットのみのオリエンテーションよりもDVDでの映像の方が印象に残りやすかったのではないかと考えられた。内服と喫煙についての項目ではDVD併用前後とも理解度が低い結果であった。対象者が70歳代の割合が多く、高齢者は老年期の身体の変化で聴力や認知機能の低下がみられ、内容が分かりにくかったのではないかと推測される。パンフレットとDVDを高齢者でも理解しやすく興味を引く内容に改良する必要があると考えられた。