[口演S-3-1] 子供集団に対する熟練看護師の認知
Keywords:子供集団 、熟練看護師、認知
【目的】児童思春期病棟に入院してくる子供が集団となり問題行動を起こすことが少なくない。病棟の中で子供が集団化することを熟練看護師はどのように認知しているのかを明らかにすることで子供集団への介入の示唆を得たいと考えた。【方法】1. 研究デザイン:質的記 述的研究 2. 研究期間:2021年 7 月から 2021 年 11 月 3. 研究対象者:精神科病院に 5 年以上勤務し児童思春期病棟の勤務経験を有する看護師 8 名(男性 4 名女性4名)4. 調査方法:半構成面接法を用いたインタビュー調査 5. 分析方法:語られた内容を逐語録にしカテゴリー化する 6. 倫理的配慮:本研究は長崎県精神医療センター倫理委員会の承認を得た。研究の実施にあたりデータを匿名化し研究対象者の不利益を回避するための配慮を行った。収集したデータについては研究以外の目的に使用しない事を伝えた。研究対象者にこれらを説明し自由意思による参加と発表の承諾を得た。【結果】子供集団に対する熟練看護師の認知として 147 のコードから 14 のサブカテゴリーを抽出した。《問題行動に伴う他者への迷惑》《認知の歪みに伴う治療関係の悪化》《成長発達段階にある子供集団》《子供集団の相互作用》《子供集団への疲弊》の 5 のカテゴリーに分類された。【考察】児童思春期病棟の熟練看護師は、子供集団の起こす行動や大人への反抗について《成長発達段階にある子供集団》であるという事を念頭に置き関わりを行っていた。熟練看護師は未熟な子供集団が起こすであろう行動をある程度予測し《問題行動に伴う他者への迷惑》《認知歪みに伴う治療関係の悪化》というアセスメントを行っていた。熟練看護師は思春期患者の特性を理解し疾患にとどまらず、成長発達段階という健康的側面の視点からも観察し、子供集団の成長を促す関わりを行っているといえる。熟練看護師は、子供集団の激しい力動や関わりへの負担感から《子供集団への疲弊》を感じていた。しかし、《成長発達段階にある子供集団》という視点から子供集団への理解を示し柔軟な介入を行っていると推察される。また、子供同士が集団になることを互いが成長する機会と捉え《子供集団の相互作用》を期待する側面も認められた。児童思春期病棟の熟練看護師は、子供集団が治療的なものとなるよう見守り、関わる姿勢を持つことが大切であると考える。